なっがい夢
□恋の妙薬
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ペスカーラ名無しさん誘拐事件が起きて数日。
名無しさんは今日も、家事に勤しんでいた。いつもより、長めに掃除機をかけて、窓も徹底的に拭いて、いつもはそのまま畳んでしまうTシャツにもアイロンをかけて。
しかし、いつにも増して綺麗になっていくシェアハウスに反比例して、その表情は曇っていた。
(……もっと、頑張ろ)
なんとなく、落ち着かない。
あれから、「襲撃されるのはよくあることだよ」と、みんなはフォローしてくれたが、自分がもっとしっかりしていれば、あれだけ迷惑をかけることはなかったはずなのだ。
プロシュート達の命を危険に晒してしまった罪悪感は、いつまで経っても胸につかえたまま。
そう思うと、気持ち良く過ごすための掃除は、名無しさんの中で、罪滅ぼしのためにする掃除になってしまっていた。
『……みんなの靴でも磨こうかな』
どことなく、しょんぼりしながら玄関に向かう名無しさん。
いつもヘラヘラしているが、今はさすがに反省モードらしい。