なっがい夢

□恋の妙薬
1ページ/7ページ

ペスカーラ名無しさん誘拐事件が起きて数日。

名無しさんは今日も、家事に勤しんでいた。いつもより、長めに掃除機をかけて、窓も徹底的に拭いて、いつもはそのまま畳んでしまうTシャツにもアイロンをかけて。

しかし、いつにも増して綺麗になっていくシェアハウスに反比例して、その表情は曇っていた。


(……もっと、頑張ろ)


なんとなく、落ち着かない。


あれから、「襲撃されるのはよくあることだよ」と、みんなはフォローしてくれたが、自分がもっとしっかりしていれば、あれだけ迷惑をかけることはなかったはずなのだ。

プロシュート達の命を危険に晒してしまった罪悪感は、いつまで経っても胸につかえたまま。


そう思うと、気持ち良く過ごすための掃除は、名無しさんの中で、罪滅ぼしのためにする掃除になってしまっていた。


『……みんなの靴でも磨こうかな』


どことなく、しょんぼりしながら玄関に向かう名無しさん。
いつもヘラヘラしているが、今はさすがに反省モードらしい。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ