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□紅い目
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エヴァンゲリオンの11巻は本当に悲しくなる。
何故かって?

我らがカヲル君が殺されちゃうからに決まってんでしょぉぉぉぉおおおおおおっ!!!!
何回泣くことか。


『あーぁ、カヲル君を助けられたらなぁー。』
絶対出来もしないことを呟き、枕へ頭をダイブさせる。


カヲル君で頭がいっぱいの私は変な妄想をしているうちに意識はとんでいった。










「……て…」

ふわふわとした感覚に目を開けた。
きっとここは夢の中だ。

夢かぁー。
カヲル君出てこn[ゴンッ!]
『痛い!?』

頭を抱えてうずくまり、上を見るとすっげえ美形が真っ黒なオーラ醸し出して見下していた。

「起きろって何回言えば分かるわけ?」
うわ、声もイケメン…
じゃなくて!!

『起きなかったのは申し訳ないけど、
いきなり女の頭をグーで殴る!?』

「すまん、女とは思えんかった。」

しれっと…っ!!!
前言撤回!!!
こいつ超ブサイク!!!!


「ほう、俺にそんなことが言えるかお前。」
その人は更に冷たい目を向けてきた、が、直ぐに眉を下げて悲しそうな顔をした。

「お前の最大の願いを叶えてやろうと思ったのに…」

こいつなに言った

『え?』

「お前の行きたい場所へ連れて行ってやろうと思ったのになぁ…」

『カヲル君!!!!!!!!』

それはもう勢いよく、その人に飛びついた。
そしたら意外や意外。その人は私をちゃんと受け止めてくれた。

「でもなぁー、お前俺にブサイクって言ったしなぁー。」
『うそうそうそうそ!!!めっちゃイケメン!!性格はブスだけど!』

がしり、と頭を鷲掴みにされた。

『痛い痛い痛い!嘘だよ、イケメンですイケメンンンンンンっ!!』

頭を掴むその手を掴んで必死の弁解をしていたら、クスリと上から笑う声が聞こえた。

「お前、面白い奴だな」

笑ってる…。やべ、イケメンだわ。

いつの間にか頭を掴む手は優しく撫でる手へと変わっていた。

頭がついて行かなくて、顔に熱が集まるのを感じることしか出来なかった。

「ここはさっきお前が気づいた通り、お前の夢の中だ。
だが、俺の世界の中でもある。」

いきなり説明されて、でも意味は全く理解できない。

「理解出来なくていい、聞いていてくれ。

んで、ここにお前を呼んだのは、さっき言ったけど、お前をエヴァンゲリオンの世界へ連れて行くためだ。」

ハッキリ、エヴァンゲリオンの世界へ連れて行くと言われて、心が踊る。
だが、この人の話をちゃんと聞かなきゃだめだ。と頭が命令してくるからはしゃぐこともなく、大人しく聞いてよう。

でも、
『なんで…?』

その人は微笑んだ。

「それはいずれ分かるさ。」
っ、と息がつまる。
やべえ、笑顔の威力がカヲル君といい勝負だ…

「んでだな、お前も望んだとしても、お前を向こうへ連れて行くのはこっちの勝手な都合だ。
だから、詫びの代わりにちょっとした能力を送らせてくれ。」

頬を撫でられて、女のわりには短い髪を指で梳いた。

『能力…?』
「ああ。
一つは他人と魂を分つ能力。
もう一つは絶対なる友愛、と呼ばれる能力だ。」

名を聞くだけでは詳細まで分からない。
首を傾げるとその人はまた笑った。

「これも次第に自分で分かるようになるさ。」

チュ、

『!?』

おでこを抑える。
顔を見ればニヤリと笑っていた。

「結構初心なんだな?」

くそ、イケメンはこれだから…!

頬に集まる熱を感じつつ、ただただ睨むしかなかった。
くつくつと笑うその人の目に、すっと憂いが宿った。

「今ので能力は授けた。」

なぜ、そんな悲しそうなの?
泣きそうな顔をするの…?

その人の頬に触れようと手を伸ばした瞬間、

『!?』
己の手が透けている事に気づいた。
待って、どうして

「時間だ。」
その人は胸に私を埋めた。
ぎゅうっと力が入ってきて、こちらまで切なくなってくる。

「迷うな。信じろ、己を。」
その言葉に目を見開き見上げれば途端に離れていく二人。

『待って、まだ…!』
名前さえ聞いていない、まだ聞きたいことが沢山ある…!!

「答えは自分で導き出せ!」

叫ばれたその言葉にせめて、最後はいい返事を。

『ありがとう!頑張る!だから、見ていてよ!!!』



そこで完全に見えなくなってしまって、嫌だと思ってしまえば、無意味と分かっているこの手を必死に伸ばした。



「あたりめぇだ、馬鹿。」

どうか無事で。
我らが主よ…










そして私は水の中を沈んでいく感覚に襲われ、


いつしか意識を失った。
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