twitterであげていたおはなし。3
□ピュアな彼女になかなか手を出せない黒尾の話。
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新しい彼女ができた。
交際人数を数えたら、片手ではとっくに足りなくなってた。幼なじみの研磨には度々「クロ、また彼女変わったの」と眉をひそめられるが、俺だって好きでこうなったワケじゃない。…説得力ねえと思うけど、な。
例えば、話していて楽しくても手を繋ぐとなんか違うなって思ったり、自分のことを好きだと伝えてくれるのにキスやそれ以上のことをしても同じ気持ちになれなかったり…そんなことの繰り返し。しっくりくるただ一人を探しているうちにいつのまにかチャラいだのタラシだのというレッテルを貼られてしまった。ま、告白を断れない俺が全部悪いんだけど。
そんな俺に告白してきた彼女。一年の時に同じクラスで、今年またクラスメイトになった。正直あんま覚えてない。わりかしおとなしめな感じの子だ。
「くっ、黒尾くん…わたしとつきあってくれないかな…?」
「おう、いいぜ」
「え……っ?」
「何だよ、自分から言っといてその顔」
「だって…信じられなくて…」
目をうるうるさせている姿はまぁフツーに可愛かったし、ちょうどフリーで断る理由もないから彼女を隣に置くことに決めた。
告白の翌日、朝練終わりに教室に入ると
「黒尾くん、おはよう」
「おお、おはよーさん」
「朝練お疲れさま」
「サンキュ」
彼女とのやりとりを見たクラスの女子数名がカバンをおろしたばかりの俺の席にわらわらと集まった。
「あんた、あの子と仲良かったっけ?」
「あー…昨日からつきあってっから」
しれっと言うと女子は蜂の巣をつついたかのように騒ぎ出した。
「マジで!?また黒尾の餌食が増えちゃったか…」
「あの子がねえ…超意外なんだけど!」
「またどうせ長続きしないんでしょ」
いちいち反論すんのもめんどくせーから、好き勝手言わせておこうと思った。ただ矛先が彼女へ向いてしまうのは申し訳ない。俺は彼女の席へと出向いて、空いていた前の席にドカッと腰掛けた。
「あの、さ」
「何?」
「俺と一緒にいると色々面倒かもしんないよ?引き返すなら今のう」
「大丈夫だから!」
食い気味に、前のめりの姿勢でそう言い放った彼女の手はぎゅっと握り拳になっていた。
「わたしは、そういうの気にしないから」
「まあ、それならいーけど。何か嫌なこと言われたりされたりしたら言って?一応、彼氏だからさ」
「うん…」
「どうした?」
「一応、って…なんか悲しいなって。わたしは黒尾くんが好きで、彼女になれて本当にうれしいんだよ…?」
伏し目がちにそんなことをつぶやく彼女を見て、自然と手が頭に伸びた。
「悪い。さっきの撤回な。何かあったら言え。お前の…彼氏だから」
ポンポンと軽く頭を撫でると急激に染まる頬。かつてここまで新鮮な反応をする子はいなかった気がする。