金国♀シリーズ

□Vol.7
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期末試験も無事に終わり、あとは数日後に始まる夏休みを待つばかり。もちろんわたしも楽しみにしているひとりだけど…少しだけ、複雑な気持ち。

金田一と毎日会えなくなる1ヶ月がやってくる。

そんなの中学の時も同じだったはずなのに、あの時は全く気にもとめなかった存在が今、こんなにも脳内を占領している不思議。今日はバレー部の週1休みである月曜日。ということで…

「おーい、国見。帰ろう?」

廊下と教室を隔てる小窓をガラッと開けて金田一が笑顔を覗かせる。

昨日の夜「明日一緒に帰ろう。迎えに行くから」と言ってくれた通りに。廊下側の席はこういう時便利だなぁと思うと同時に、もし席替えをしたらどうしようか、と思いを巡らせる。

扉のところから大声で呼びかけてくるのだろうか。あるいは教室の中にずんずん入ってきて席まで来てくれるのか。

どっちも恥ずかしいな。…嬉しいけど。

「うん」

返事をして廊下に向かうと金田一の横に並んだ。背が高く足が長いから、ちょっと早歩き気味になりながら昇降口を目指す。



恋人になってまだ10日あまり。試験期間中に図書室で勉強してから一緒に帰ったり、というのは何度かあったけれど、何でもない日にこうやって一緒に帰るのは初めてだったりする。いわゆる放課後デートということになるのかな。

「あぁ〜腹減ったなぁ。何か食いに行かない?」
「あ、うん」
「国見は、ハンバーガーとかラーメンって感じではないよなぁ」
「いや、普通に食べるけど…」
「食べ物、何が好きなんだ?」
「一番は、塩キャラメル…かな」
「へぇ…甘いもの好きなんだな」
「うん」

相変わらず金田一は大きい歩幅で遠慮なく元気に歩くから、ついていくのがちょっと大変。

「駅前の公園のとこに最近チュロスの屋台が来てるらしいんだけど、行くか?」
「詳しいんだね」
「俺は行ったことはないんだけど、クラスの女子がおいしいって騒いでて」
「ふーん…」
「国見ももしかしたら喜んでくれるかなーなんて思ってたんだ」

一緒にいない時でもわたしのこと、考えていてくれたんだ。ふわりと心があったかくなって、ちょっとだけ勇気が舞い降りてきた。

くいっ。

ブレザーの裾をつまんで引くと、金田一はキョトンとしている。
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