twitterであげていたおはなし。

□龍と幼なじみのお話。
1ページ/2ページ

明るくてにぎやかで盛り上げ役と思われてるかもしれないけど、
本当の気持ちを上手に隠して笑っている。
実は人にすごく気を遣うヤツだし、繊細な部分もある。
でも、みんながそれを知らなくていいと思ってる。
わたしだけが知っている、特別な彼であってほしいから。

幼なじみのわたしだからわかる、彼の口癖。
昔から、何か思うこと、言いたいことがあっても言えない時
絶対に「何でもない」と言うんだ。
本当に何でもない時は「平気だぞ!」とか「大丈夫だから」ってはっきりと言う。


幼稚園で友達を泣かせてしまった時も
本当はオモチャを壊されたから怒ったんだけど、
先生に聞かれても「なんでもない」の一点張り。
ごめんなさいをしなさい、って言われて頭を下げてた。
そのオモチャ、一番大切にしていたやつだったよね。
本当は、泣きたいのは龍の方だっただろうに。


そんな龍を、ずっと見てきた。すきだった。


お昼休み、友達に手招きされて教室の入口に向かうと
隣のクラスの男友達が来ていた。
ちょっといい?と言われ廊下に連れ出される。
目の端に映った龍が、こちらを見ているような気がした。

廊下の窓に寄りかかって少し小声で話し始める。

「あのさ、いつもよく一緒にいる坊主頭の彼って…」
「ああ、龍のこと?」
「…お前とつきあってんの?」

目の前の彼に思われてることが本当だったらどんなにいいか。
残念ながら、そうではない。

「違うよ。幼なじみ」
「そっか。…じゃあ、もし今フリーなら俺とつきあわない?
前から、話してて楽しいなって思ってたんだよね」

そう来たか…
気持ちはうれしいけれど、わたしの心は決まっている。
申し訳ないけど、「友達のままでいたい」と告げて教室に戻った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ