twitterであげていたおはなし。2

□一度フラレたけど国見ちゃんを諦められない子のお話。
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一度踏まれた花も、またぴんと背筋を伸ばして咲くことができる。
そんなことを実感した、春だった。


うっとおしいと思われてもいいから、近くにいたい。
そんな思いから受験した、彼と同じ高校。
無事に合格できた時は、飛び上がるほどうれしかった。
「春からもよろしくね」と笑いかけた相手は、ああ、と小さく答えるだけで顔色ひとつ変えない。

国見くんに、ずっと片想いしている。
1年生の時からすきで、2年生でやっと同じクラスになれた。
そしてその冬のバレンタインデーに告白したんだけど、あっさり玉砕。
3年生ではまたクラスが別れてしまったけど、遠くから想い続けてきた。
ごめん、と言われた時に「すきでいることは、許してくれるかな」って言ったら
それはお前の気持ちだから、俺がとやかく言えることじゃない、だって。
そっけないようだけど、恋心を拒絶されないだけ全然マシだ。


そして春が来た。
わたしはずっと前から心に決めていた。
今までは何も繋がりがない中、ひたすら想い続けてきたけれど
これからは自分から彼の近くに居場所を作ろう、って。
クラス分けではやっぱり離れてしまったけれど、きっと彼はあそこにいくだろうから…
握り締めた入部届には「男子バレーボール部(マネージャー)」と記入してある。


入部した1年生がずらっと並ぶ中に、やっぱり見つけた。
強豪なだけあって他の人も体格がよいけれど、彼に真っ先に目が行く。
同じ中学だった金田一の隣、黙って立ちつくしていた。
ふたりの横にそっと並んで話しかけてみる。

「金田一もやっぱりバレー続けるんだね」
「おう。お前…マネージャーやんのか?意外だな」
「ちょっとね、頑張ってみたいんだ」

金田一とはスムーズに会話が進んだけど、彼に掛ける一言には…迷う。
ウザイ、って思われるのは覚悟で来たはずなのに。
腹が決まらず下を向いたままでいたら、
何も知らないはずの金田一が偶然にも助け舟を出してくれた。

「同じ中学のヤツがマネにいると、なんか心強いよな。な、国見」
「ん…まあな」

適当なあいづちだったとしても、うれしかった。
お揃いのジャージで過ごす放課後の時間がとても楽しみだ。
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