twitterであげていたおはなし。2

□赤葦と音駒マネのその後。
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不完全燃焼、とはまさにこのこと。
あんなので、伝わったなんて思っていない。

偶然にも出会えた、想いを寄せる他校のマネージャーさん。
一緒に過ごすことには成功したのに、肝心の「好きでした」が言えていない。
やたら遠回しに、好意を匂わせることはできたと思う。
でも、下手したらカッコつけてると思われたかもしれない。
バスに揺られながら、後悔やもっとこうしていればという反省は後を絶たなかった。


部活に集中していても、脳内に彼女のことがよぎる。
次に会った時、何て言おうか。
そもそも、ちゃんと話せる機会があるんだろうか…
そんな風に毎日悩むうちに、あっというまに夏合宿の日を迎えた。

先に到着していた俺の前に、赤ジャージがぞろぞろと姿を見せる。
元気そうな面々の中に埋もれた彼女の頭を見つけると、心臓が高鳴った。
それぞれ荷物を置いて支度を始めると、隠れていた彼女が目の前に。
目線ががっちりと絡み合った…気がした。
とりあえず軽い会釈をして顔を上げたら、彼女もペコリと頭を下げてくれた。
避けられてはいない、な。


午前中から昼休憩を挟んで長らく続いたローテーションでのミニゲーム。
昼食をとったにも関わらず、体力がぐんぐん減っていくのは暑さのせいもあるだろう。
Tシャツが絞れるんじゃないかってくらい汗だくになった俺らに
マネージャーさん達から声がかかる。
森然高校の父兄の方から、スイカの差し入れとのこと。

みんなで体育館の外に出てスイカを頬張る。
部員の数も相当だが、一体何個、差し入れがあったんだろう。
そんなことを考えているうちに、次々と減っていくスイカ。
一個目をようやく食べ終わろうかという俺の前に、突如現れたのは。

「皮、これに入れて。新しいの食べる?持ってこようか」

ゴミ袋を携えた、彼女。
話しかけてもらえてとても嬉しかったのに、話すのがあの時以来で面食らってしまい

「大丈夫です」

と言ってその場から逃げるように去った。
何をやっているんだ、俺は…
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