twitterであげていたおはなし。2

□金田一少年の初デート奮闘記(前編)
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*陰ながらお手伝いする2名も含めた4名の視点で書いてます。


どうしよう、どうしたらいいですか。

その声を投げかけた相手は、学校一の有名人といってもいい3年の及川さん。
わたしみたいな庶民は、普通なら声をかけるだけでもドキドキしてしまうのに
今回ばかりは先輩にすがりたくなってしまう。
女の子ときっといっぱいデートしているだろうし、女心もわかってくれそうなこの人は
何を隠そうわたしの彼の先輩。

「何、どうしたの?」

自動販売機の前、買ったばかりのミルクティーを飲んでいた先輩は
不思議そうな顔でわたしを見つめる。
1年間だけだけど中学で一緒だったから、わたしよりも彼を知っているはず…

「あの。今度の月曜なんですけど…」
「あ!もしかして…金田一、君のことデートに誘ったんでしょ?」

なんて鋭い人なんだ。
図星です、と顔に書いてあるよ〜とイタズラに笑う及川さん。

「で、金田一のヤツは君をどこに連れてってくれるんだって?」
「それが…」

確かに、次の月曜は部活の休養日かつ祝日だから、出かけようと誘われた。
でも、「どこ行きたいか考えておいて」としか言われていないのだ。
つきあってまだ数週間も経っていないから、相手の好みも手探り状態なのに。
どこを選べばいいのか、及川さんに聞いてみよう、ということで今に至る。

「なんだぁ。金田一ったら君に任せっきりなんだね」
「そうなんです…」
「君が行きたいところを素直に言ってみていいんじゃない?
きっとどこだって喜んでついていく。男ってそういうモンだと、俺は思うけどね〜」

3年生ともなるとこんなに余裕のある感じなのか…
いや、彼はこうはならないだろうな。

「あとですね、服、迷ってまして…彼の好みとかもしご存知なら…」
「えー?そんなの本人に聞くのが一番じゃない?
いつも制服なんだから、何を着たって新鮮に見えるけどね。
まぁ強いて言えば…服より中身の方が気になる。オトコってそういう生き物なんだよ」

ウインクして見せる及川さんの言葉は、わたしには刺激が強すぎた。
真っ赤になってうつむいていると。

「ゴメンゴメン。可愛い1年生をいじめすぎちゃったかな。
お詫びに、及川さんが一肌脱いであげよう。今日の部活の時に色々聞き出してあげるね」
「なんか、すみません…」
「いいのいいの。じゃあ、明日の昼休みにまたここに来れる?
そこで、聞いたことを報告するからさ」
「ありがとうございます!」

強い味方を手に入れたわたし。
教室に戻る足取りは実に軽かった。
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