twitterであげていたおはなし。2

□勘違いしながらも好きな子を守るツッキーのお話。
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数週間が経って、クラスの雰囲気の変化に気づく。
なんかわたし、女子から避けられているような…
元々たくさんの人と話すわけじゃなかったから、余計ぽつんと一人になることが増えた。

そんな最中、目の前に迫った定期試験に向けて
放課後、山口くんと月島くんと3人で机を並べて勉強をしていたら。

「うまくやるよね」
「めっちゃ計算高いんですけど」
「思い通りの展開になってるんじゃん?」

リーダー格の子が率いる集団がはっきりと口にしたその言葉。
顔を上げたら視線は私に向けられていた。
彼女らに何も危害を加えたり、悪いことをした覚えはない。
でもさっきの言葉は明らかに、敵意だ。
多分、言ってるのは月島くんのことだって、鋭くないわたしでも容易にわかる。

山口くんと仲良くなったのは話しかけてくれていい人だったからで、
決して、月島くん目当てだったんじゃない。

そう胸を張って言えるだけの勇気はわたしにはなくて、うつむくしかなかった。
きっと二人とも、さっきの言葉がわたしのことを指してること、気づかないはずない。
みんなに敵視されてる嫌な子、って思われちゃったかな。

二人に…月島くんに、嫌われたくない。

そう思ったら涙が止まらなくて、制服のスカートにぽたぽたと雫が落ちる。
鼻をすすったら「あの…えっと…」と向かいの山口くんが困ってる声が聞こえた。
迷惑かけてる。本当に、ごめんなさい。

膝に乗せてぎゅっとしていた拳に、隣から手が伸びてきた。
びくっと動いたらそっと手に握らされたやわらかい感触。
そこには、青いハンカチ。
ガタっと椅子から立ち上がる音がして、次の瞬間信じられないことが起こった。

「…そういうこと、集団で言うとか、ダサッ」

思わず手にしたハンカチで押さえた顔。
少しだけずらしてのぞくと月島くんの背中が見えた。
その向こうに女子の集団が立っている。

「言いたいことあるなら、1対1で言えば」

吐き捨てるかのような言葉に、教室の空気が凍った。
女子は固まり、周りにいた男子は「ひょえ〜怖いな」なんてビビっている。
月島くんはそんな反応を全て無視して、スタスタと教室を出て行った。

「よくわかんないけど…ツッキー、かっこいいな!」

山口くんが明るい表情を見せてくれたから、ホッとした。
そして月島くんの一喝が相当効いたんだろう、女子の集団は気まずそうに散っていった。
わたしと山口くんは、さっきまでのように勉強の続きに取りかかる。
でも、しばらく待ってみても、月島くんの戻ってくる気配はない。
ハンカチを握りしめ、立ち上がる。

「わたし、月島くん探してくるね」
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