twitterであげていたおはなし。2

□嶋田さんに恋する烏野マネのXmasのお話。
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意味深な一言に、俺は耳を疑った。

「嶋田さん、今年のクリスマスの予定はありますか?」

なんだ、その甘酸っぱいセリフは。
しかも発したのはサーブを教えている男子高校生。
不思議に思いながらも頭の中にカレンダーを思い浮かべる。
クリスマス…今年は確か。

「イブが水曜で当日が木曜だよな。うちは通常営業だから…仕事、だけど」

しかも木曜は特売日だ。
こりゃあ忙しくなるかな、なんて思っていたら、

「仕事終わった後って、空いてますか?」

これが女の子からだったら、ドキッとするものだろう。
でも悲しいかな、目の前にいるのは俺より背の高い細身の男。

「空いてるけど…クリスマスも特訓するってことか?」
「あ、いえ…そうじゃなくて」

慌てて手を左右に振って否定する。
一体なんなんだ?

「あと、嶋田さんは欲しいもの、ありますか?」
「…あのなぁ、忠。俺、26なんだけど。
サンタにお願いする年齢なんてとっくに過ぎてる。
逆にサンタになって子供にプレゼントやっててもおかしくないんだぞ。
それにさっきからの俺らの会話、彼氏彼女みたいになってないか。どうした?」

忠はふわっと笑ってもう一度口を開く。

「嶋田さんには、お世話になっているから。
何か俺があげられるもの、ないかなあと思って」
「そんな気を遣うなよ」
「ないんですか、欲しいもの」

食い下がる忠。
ここは何か提示しないと話が終わらないような気がした。

「そうだな……可愛い恋人なんかいたら、楽しいだろうな、クリスマス」

半ば冗談だった。
彼女が欲しくないわけでもない。でも、いなくても特に支障がないのが現状だ。
第一、忠に話したからといって、ハイどうぞと手に入るものではない。
そんなの百も承知だ。

「どんな彼女がいいんですか?」
「お前…それ聞いてどうすんの」
「ちょっと聞いてみたかっただけですよ」
「なんだよそれ。
まぁ…俺のことをまっすぐに想ってくれる人ならいいな、って感じだな」
「何歳ぐらいがいいですか?」
「んー…まあ俺もオッサンだしねえ。何年か後には結婚…とかもあるかもしれないし
それなりの年齢なら、上でも下でも気にしないかな」

って、10も年下の男に何をマジに語っているんだ、俺は。
なんて我に返った時には、忠はさっき以上の笑顔を俺に向けていた。

「サンタが、叶えてくれるといいですね」
「そういうお前は、何、一緒に過ごす相手でもいんの?」
「秘密です」
「なんだよ、俺に聞いてばっかりだな」

結局、忠の意図は全くわからないままだった。
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