twitterであげていたおはなし。2

□にろくんと後輩マネ彼女、クリスマスのお話。
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「茂庭さん、それって本当ですか?」

思わず声を上げてしまった、休み時間の廊下。
目の前にいるのは、人差し指を唇に当てて、しーっとしている茂庭さん。
そして、黙ってその後ろに立っている青根さん。

「声、おっきいよ」
「あ…ごめんなさい!」

たった今告げられたこと。
わたしの彼…バレー部の新主将である彼が
どうやらクリスマスをものすごく楽しみにしているらしい。
部活の休憩中に、鼻歌でクリスマスソングを口ずさんだり(全然気づかなかったけども)
休み時間にスマホで調べ物をしてはメモをとったりしている、って。
鎌先さんがスマホをこっそり覗いたら、アイツには内緒ですからね、と注意されたらしい。

「あいつ…浮かれてる」

滅多にしゃべらない青根さんまでそんな風に言うものだから…
一体どんなことを考えているのだろう。
すごく気になるし、楽しみだ。


茂庭さん達とのおしゃべりから数日後、
帰り道で彼からクリスマスに映画を見に行こうとお誘いがあった。
わたしが見たいなって言ってたやつだった。

「映画だけじゃないから、楽しみにしてて」

そう言って笑う彼を見て、ときめかないはずがない。
うん、とめいっぱいの笑顔で元気よく返事をしたら、

「当日まで風邪ひかないようにな」

そう言って繋いだ手をさらにぎゅっとしてくれた。
まだ16年しか生きていないのに…こんなに幸せでいいんだろうか。


ある日の昼休み。
近くの教室に用事があったのでついでに立ち寄った2年A組の教室。
彼を探してみるけど…姿が見当たらない。
キョロキョロしていると目が合った青根さんがこちらに来てくれた。

「あの…二口さんは…?」
「実習室、行った」
「ああ、次の授業が実習なんですね?」

ブンブンと首を左右に振る。
それ以上は何も言わなかった。
授業中に作業が間に合わなかった分を取り戻すため、かもしれないな。
青根さんにお礼を言って、邪魔するのもいけないからと実習室には寄らずに教室に戻った。
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