twitterであげていたおはなし。2

□年上彼女とのXmasのお話。
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東京進出があと数ヶ月後に迫った、年の瀬。
春からわたしは、大都会に飛び込んでいく。
地元に就職する友達も大勢いたけれど、宮城以外の土地で生活してみたかったし
自分の可能性を広げるため、慣れ親しんだ故郷を離れる決意をした。

そして運命か偶然か、わたしの年下の恋人も同時期に東京に行く。

彼は、県内、いや、全国でもトップクラスのバレーボール選手。
まだ高校生だけれども、専門誌の誌面を何度も飾っている。
名前を聞けば、高校バレーを知っている人は間違いなく食いつくだろう。
なんて、今だから言えること。
かくいうわたしも、彼がそんなすごい選手だってこと
つきあい始めるまで知らなかったんだけどね。

彼には周囲の予想通り、早々に実業団からスカウトが来た。
もちろん、プロ契約だ。
インターハイ出場後、最後の春高予選が始まる前にそのことを聞いた。
……テレビのローカルニュースで。
本人から聞けなかったことは結構ショックだったけれど
あの人は、そういう人だ。いつも。
わたしに相談したりしなくても自分で道を決めていくし、
詳細な報告はほとんどしてくれない。
それなのに、彼女だって思ってていいのかな、なんて今でも思ってる。



2年ちょっと前につきあいだしてから、
彼は練習に明け暮れていて、イベントに興味を示さない。
愚痴を言ってしまうようだけど…
わたしや彼の誕生日とかつきあいだした記念日なんかも
一切、彼は何もしてこなかった。
もちろん、クリスマスも。
それなのに今年はなぜか、自分から

「24日か25日は空いているか」

と威圧的とも言える雰囲気で聞いてきたのだ。
いつも、バイトのシフトはイブやクリスマス当日のどちらかに
休みをもらえるよう調整してもらっていた。
でも、一緒に過ごせたらいいな、なんて淡い期待は毎年裏切られてきた。
これまでは空回りだったその想いが、今年ようやく実を結ぶみたい。
しかも運良くどちらとも空いている。

「どっちでも、空いてるよ」
「じゃあ、24日。18時に」

何年一緒にいても、単語や必要最低限の情報しか話さないようなこの口調。
でも、いいんだ。
やっと一緒に過ごせる!
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