twitterであげていたおはなし。2

□幼なじみの彼女とのお話(国見ちゃん視点)
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力ずくで、なんてことは言わないけど
手に入れたいものがあるなら行動を起こすべきだと思った。

その結果、俺の背中は激しくロッカーに叩きつけられた。
自分よりもずっと背が小さく非力であるはずの、こいつに。

「何…すんの!」

放課後の教室に響いた怒りの声の主は、俺の幼なじみで片想い中である彼女。肩を上下させ、はあはあと荒い呼吸。


日直日誌を書いているこいつを、自分の席にうつ伏せになりながら眺めてた。二人きりの教室、なんて願ってもないチャンス。

「部活行かないの?」
「もうちょっとしたら、行く」

そんなやりとりをしながら、彼女が席を立つのをずっと待っていた。

「よし、終わった〜帰ろうっと。
英も、そろそろ行きなよ?金田一もう行ったんでしょ?」

そう言って席を立ったから、俺はガタンと椅子を引き一直線に彼女に向かっていった。

「なあに?どうしたの?」

その返事を、行動で返したつもりだ。
両腕で彼女を自分の胸にぐいと寄せる。シャンプーの香りが鼻をくすぐった。でもその甘さは、本当に一瞬。
どこにそんな力があったのか、という勢いで俺は突き飛ばされたのだ。

「…ってえ」
「急にこんなことするからでしょ!」
「…しちゃ、悪いのかよ」
「だって!……彼氏でもないし」
「したいと思ったから、した。態度で示した方が早いしわかりやすいだろ?」

バレーとか勉強ってなると、結構冷静に考え慎重に行動するタイプだと思う。でも、こいつに対してはどうしても同じようにできない。
普通に考えたら、告白して、両想いになって…という手順を踏めばいい簡単な話。だけど、小さい頃からずっと一緒で色んな顔を見てきたし見られてきた、という事実が俺を意地っ張りにしている。

素直になれたら楽なのに。
頭ではそう思っていても、実際顔を合わせると照れくさくて『好き』なんて言えたもんじゃない。抱きしめるにも、一応勇気出したんだけど。

「英なんて、大っ嫌い!」

そう叫んだ彼女は日誌と鞄をひっつかみ、教室を出て行った。
背中の痛みより、投げつけられた言葉が胸に与えた痛みが残っている。
嫌い、か。しかも”大”までついているときた。でも、そこまで言われてもやっぱり。

あいつが、好きだ。
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