novel

□ゆびきり
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「薫?痛い事、されんかったか?」
「うん…」
「もう、泣いたらアカンよかわえぇ顔が台無しやからな」
「…かわえぇって…堕威兄ちゃんも…僕の事、女やと思うてるん?」
「アホな事言いなやぁ…薫は女の子なんかより…ずっとかわえぇわぁ」
「…僕…男の子なんて…大嫌いや…薫は女やって…すぐ意地悪するから…」
「ん…薫…男の子が薫に意地悪するんわな…薫が…かわえぇからなんやで…」「???かわえぇと意地悪するん?」
………………
「薫も、大きくなったら分かるわ」
「分からんでえぇよ…僕…意地悪したないもん…それに…かわえぇから意地悪されるんなら…僕は可愛くなくてえぇよ…かわえぇからって…えぇ事、1つも無いもん…」
その時 堕威兄ちゃんが俺をギュッて 抱き締めてくれた
「えぇ事ならあるよ…薫は女の子よりも、誰よりもかわえぇから…大きくなったら…俺がお嫁さんに貰ったるからな♪」
「お嫁さん?」
「そうやで♪一緒の家で、毎日二人で一緒に暮らすんや!!薫はお嫁さんやからな…美味しいご飯作ってな♪」
「うん♪ホンマに堕威兄ちゃんのお嫁さんにしてくれるん?」
「おぉ!!約束や!!」
「そんなら…ゆびきり…してくれる?」
「えぇで♪」

ゆーびきり げんまん
うそついたら はりせんぼん のーます
ゆびきった!!

「約束やからな♪」
「うん♪僕、男の子なんて大嫌いやけど…堕威兄ちゃんだけは大好き♪」
「薫…」
「堕威兄ちゃんが、お嫁さんにしてくれるって…約束してくれたから…もう意地悪されても泣かへんよ…可愛くて…良かった♪」
「俺以外の奴が薫をかわえぇと思ってるんは…腹立つけどな…」
「???僕は、堕威兄ちゃんが、かわえぇって思うてくれて…言うてくれるんが嬉しいん♪他の子に思われても、言われても嬉しないもん…堕威兄ちゃんだけやもん」
「薫ぅ♪ホンマにかわえぇわぁ♪俺も薫が大好きやで!!」
「うん♪僕も堕威兄ちゃんが…大好き!!」
「あ!!さっきのお嫁さんの約束…誰にも言うたらアカンよ!!おっちゃんにもおばちゃんにも」
「何で?」
「誰かに言うてしまったらな…お嫁さんになられへんねん…」
「!!!そ…そうなん!?…僕…絶対誰にも言わへんよ」
「俺と薫だけの…秘密の約束な♪」
「うん♪」

それから 堕威兄ちゃんと手を繋いで一緒に帰った
「堕威兄ちゃん♪だぁい好き♪」
「俺も薫が大好きやで♪」

この頃には
もう芽生えていた恋心
小さな俺は
その何とも言えない思いを 大好きだと言う言葉でしか現せなかった
まだ 恋と言うものも
恋心と言う感情も
知らなかったから…
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