novel

□ゆびきり
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堕威兄ちゃんが中学生 俺が小学校高学年の時やった
教室で本を読んでいたら クラスの女子に話しかけられた
「薫くんって、いつも難しそうな本ばっかり読んでるよね?漫画とか読まへんの?」
「漫画?うーん…読んだ事ないかも…」
「!!!え!?嘘!?」
「面白いん?」
「めっちゃ面白いよ!!そうそう…今日内緒で持ってきてるから、貸したげるわ♪」
そう言って渡されたのは
コッテコテの少女漫画だった
家に帰り 取り合えず読んでみると 恋愛物の話だった 主人公の女子が年上の男の子に恋をする話
読んでいくうちに 自分が幼い頃から堕威兄ちゃんに対して抱いていた気持ちと重なった
最後には 恋人になった二人のキスシーンがあり
胸がドキドキした
不覚にも この少女漫画に教えられた
恋と…恋心と…キス を

その週末は
いつもの週末とは違っていた
自分の堕威兄ちゃんに対する思いが恋心だと知ってしまったから
自分が堕威兄ちゃんに
恋をしているのだと
自覚してしまったから

一緒に寝るのも 何だか
ドキドキした
あの少女漫画のキスシーンを思い出し 自分も…
堕威兄ちゃんに キスして欲しいと思った
「堕威兄ちゃん…教えて欲しい事があるねんけど…」
「ん!?何やぁ?俺に分かる事やったら、何でも教えたるよ」
「あんなぁ…キスって…何?」
「は!?き…キス!?」
「うん…」
「んー外国の人が挨拶みたいに、するもんやなぁ」
「外国の人?日本人は違うん?」
「んー日本人はなぁ…ちょっと特殊やねん」
「???そんなら…ファーストキスは?」
「一番最初にするキスの事やで」
「堕威兄ちゃんは…したん?ファーストキス」
「!!!まだ…してへんよ」
「どうやってするん?」
「え!?…それは…その…」
「…堕威兄ちゃん…キス…教えて…キス…して」
「ゃ!!それは…アカン…やろ…」
「何でも教えたるよって言うたやん…せやから…教えてや…」
「………分かった」
堕威兄ちゃんの手が頬に触れて
ドキドキしながら 目を瞑ると
唇に堕威兄ちゃんの唇が重なる
触れるだけの
優しいファーストキスは
少し長めのキスだった
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