女剣士 (イナズマイレブン)
□第十八話
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「円堂守君だね。改めて自己紹介させてもらおう、世宇子中のアフロディだ。君のことは影山総帥から聞いている。」
「やはり、世宇子中には影山がいるのか。」
「て、てめぇ!宣戦布告に来やがったな!」
「宣戦布告?フッ、フフフ。」
「何がおかしい。」
薄笑いするアフロディに染岡は警戒しながら言う。
「宣戦布告というのは戦う為にするもの、私は君達と戦うつもりはない。君達は戦わないほうがいい。それが君達の為だよ。」
「何故だよ。」
「何故なら…、負けるからさ。」
「「「!」」」
『っ…!』
「神と人間が戦っても勝敗は見えている。」
「自分が神だとでも言うつもりかよ。」
「さあ?どうだろうね…、フフ。」
「試合はやってみなきゃ分からないぞ。」
「そうかな?リンゴが木から落ちるだろ?世の中には逆らえない事実というものがあるんだ。それが、そこにいる鬼道有人君と剣城清香さんが一番よく知っているよ。」
「っ…!」
『…今は抑えろ鬼道。』
「だがっ…!」
『あいつの思うツボだ。』
鬼道は怒りに買うが、清香はそれを制する。だが、清香も冷静ではなかった。鬼道を抑える為に肩を掴むが、清香は我慢するように手の力を強めていた。
「…すまない。」
「だから練習もやめたまえ。神と人間の間の溝は練習では埋められるものじゃないよ、無駄なことさ。」
「うるさい!練習が無駄だなんて誰にも言わせない!練習はおにぎりだ!俺達の血となり肉となるんだ!」
「あぁ…、 アハハッ。上手いこと言うねぇ。なるほど、練習はおにぎりか…、フフフッ。」
アフロディは円堂の言葉に面白く納得するように笑い出した。
「笑うとこじゃないぞ。」
「しょうがないなあ。じゃあ、それが無駄なことだと、証明してあげるよ!」
アフロディは手に持っていたボールを後方へ高く上げ、皆が振り向いた時にはすでにボールのところにいた。
「い、いつの間に……!」
『(まずい…!)円堂!気を付けろ‼︎』
アフロディが蹴ったボールは段々と威力を増し、円堂が受け止めるが弾き飛ばされてしまった。
「「『円堂‼︎』」」
三人を始め、皆が円堂の元へ駆け寄る。
「大丈夫か⁉︎」
「円堂!」
「おい!円堂…!」
「っ…。」
「しっかりしなさい、円堂君!」
「円堂!」
鬼道がゆっくり上半身を起こすと、円堂は一瞬気を失いかけたが、アフロディを見て覚醒する。
「どけよ!」
円堂は無理矢理立ち上がるが、体はフラフラの状態だった。
「来いよ!もう一発!今の本気じゃないだろ…、本気でドーンと来いよ!」
その瞬間、円堂は地面に膝をついてしまった。また無理矢理立ち上がろうとすると清香が前に出た。
『円堂!もうやめろ‼︎その状態でもう一度食らったら、間違いなく体を壊す‼︎』
清香は円堂にアフロディを見せないように立つ。
「アハハハ!面白い。神のボールをカットしたのは、君で二番目だよ。決勝が少し楽しくなってきたよ。」
『アフロディ…!』
「フフ、今度こそ神の成敗を与えよう。剣城清香さん。」
そして、アフロディは無数の花弁と共に消えた。
「なんて奴だ。」
「世宇子中は、あいつみたいな奴等ばかりなんだ。」
「決勝戦…、とんでもないことになりそうだな。」
世宇子の強さを改めて知った皆は、緊張感が走る。そして力尽きたのか円堂は座り込んでいた。
『円堂、大丈夫か…。』
「ああ…。」
「円堂。」
「手はいるか。」
豪炎寺と鬼道がそれぞれ手を差し出す。
「!…いるいる。サンキュ。」
二人の手を取り、清香は円堂の背中を軽く押して立ち上がった。
「今のボールで、新しい技が見えた気がするぜ。やれるよ、俺達。」
「いや。」
否定した声に振り向くと、そこにはラーメン屋の姿で腕を組む響木がいた。
「今のお前達には絶対に不可能だ…。」
響木に告げられた言葉に、全員は衝撃を受けるのであった。