女剣士 (イナズマイレブン)

□第十八話
3ページ/3ページ




「円堂守君だね。改めて自己紹介させてもらおう、世宇子中のアフロディだ。君のことは影山総帥から聞いている。」


「やはり、世宇子中には影山がいるのか。」


「て、てめぇ!宣戦布告に来やがったな!」


「宣戦布告?フッ、フフフ。」


「何がおかしい。」


薄笑いするアフロディに染岡は警戒しながら言う。


「宣戦布告というのは戦う為にするもの、私は君達と戦うつもりはない。君達は戦わないほうがいい。それが君達の為だよ。」


「何故だよ。」


「何故なら…、負けるからさ。」


「「「!」」」


『っ…!』


「神と人間が戦っても勝敗は見えている。」


「自分が神だとでも言うつもりかよ。」


「さあ?どうだろうね…、フフ。」


「試合はやってみなきゃ分からないぞ。」


「そうかな?リンゴが木から落ちるだろ?世の中には逆らえない事実というものがあるんだ。それが、そこにいる鬼道有人君と剣城清香さんが一番よく知っているよ。」


「っ…!」


『…今は抑えろ鬼道。』


「だがっ…!」


『あいつの思うツボだ。』


鬼道は怒りに買うが、清香はそれを制する。だが、清香も冷静ではなかった。鬼道を抑える為に肩を掴むが、清香は我慢するように手の力を強めていた。


「…すまない。」


「だから練習もやめたまえ。神と人間の間の溝は練習では埋められるものじゃないよ、無駄なことさ。」


「うるさい!練習が無駄だなんて誰にも言わせない!練習はおにぎりだ!俺達の血となり肉となるんだ!」


「あぁ…、 アハハッ。上手いこと言うねぇ。なるほど、練習はおにぎりか…、フフフッ。」


アフロディは円堂の言葉に面白く納得するように笑い出した。


「笑うとこじゃないぞ。」


「しょうがないなあ。じゃあ、それが無駄なことだと、証明してあげるよ!」


アフロディは手に持っていたボールを後方へ高く上げ、皆が振り向いた時にはすでにボールのところにいた。


「い、いつの間に……!」


『(まずい…!)円堂!気を付けろ‼︎』


アフロディが蹴ったボールは段々と威力を増し、円堂が受け止めるが弾き飛ばされてしまった。


「「『円堂‼︎』」」


三人を始め、皆が円堂の元へ駆け寄る。


「大丈夫か⁉︎」


「円堂!」


「おい!円堂…!」


「っ…。」


「しっかりしなさい、円堂君!」


「円堂!」


鬼道がゆっくり上半身を起こすと、円堂は一瞬気を失いかけたが、アフロディを見て覚醒する。


「どけよ!」


円堂は無理矢理立ち上がるが、体はフラフラの状態だった。


「来いよ!もう一発!今の本気じゃないだろ…、本気でドーンと来いよ!」


その瞬間、円堂は地面に膝をついてしまった。また無理矢理立ち上がろうとすると清香が前に出た。


『円堂!もうやめろ‼︎その状態でもう一度食らったら、間違いなく体を壊す‼︎』


清香は円堂にアフロディを見せないように立つ。


「アハハハ!面白い。神のボールをカットしたのは、君で二番目だよ。決勝が少し楽しくなってきたよ。」


『アフロディ…!』


「フフ、今度こそ神の成敗を与えよう。剣城清香さん。」


そして、アフロディは無数の花弁と共に消えた。


「なんて奴だ。」


「世宇子中は、あいつみたいな奴等ばかりなんだ。」


「決勝戦…、とんでもないことになりそうだな。」


世宇子の強さを改めて知った皆は、緊張感が走る。そして力尽きたのか円堂は座り込んでいた。


『円堂、大丈夫か…。』


「ああ…。」


「円堂。」


「手はいるか。」


豪炎寺と鬼道がそれぞれ手を差し出す。


「!…いるいる。サンキュ。」


二人の手を取り、清香は円堂の背中を軽く押して立ち上がった。


「今のボールで、新しい技が見えた気がするぜ。やれるよ、俺達。」


「いや。」


否定した声に振り向くと、そこにはラーメン屋の姿で腕を組む響木がいた。


「今のお前達には絶対に不可能だ…。」


響木に告げられた言葉に、全員は衝撃を受けるのであった。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ