□鏡花水月-Othello-
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屈託の無い笑顔を見せ、人を楽しませることには他の追随を許さない彼はいつも人気者で。



さらに、手品もプロ並みに
できてしまうから彼に対して思い煩う女の子がたくさんいた。



当然、幼稚園からずっと彼と一緒の私もその一人。けど別段可愛くもないし、目立つようなタイプでもない私はそもそも住む世界が違うのだと密かに想いを寄せているだけだった。



江古田高校に入学した際も
勉強ができる彼と同じ高校に
入れる、なーんて思ってなくて。
一人ガッツポーズをしてた。


近くで彼を見れるだけでいい、
それで満足していたはずなのに、
なんて私は馬鹿なのだろう。
撃沈することは分かっていて
彼を友達に呼び出してもらい、
告白したのは2秒前。


頭に血が登り、口は乾き、
スカートを握り締める手は一層強くなった。






「...いいよ。付き合ってやる。」


「...え?」


目を丸くする私に対して
いつもと変わらぬ表情で喉で笑う
彼はYesを告げた。


「だって、ほらオメェさいつも小学校ん時とか、めんどくさいこと押し付けられても、ニコニコアホみたいに笑ってやってたじゃん?」


確かにクラス内での発言力が弱かった私は嫌な役ドコロを押し付けられていた。


正直嫌だったけれど、反抗していじめられるのが怖かったから。
今もそんなにこの性格は変わっていない。


「だから、なんていうか...。その...。強がってる女は守ってやりたいな?的な男心くすぐられるカンジ。わかる?」


ガシガシと頭をかく快斗は
今日から私の彼氏になった。
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