主
□負けないくらい、想っていたのに
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白濁液を白いシーツに
ぶちまける。
息が乱れる午前3時過ぎ。
独りで慰めるのは初めてではないけれど、ここまで気が晴れなかったことはない。
愛しい人の名を、
最も近いと想ってた人の名を、
声を押し殺すように呼びながら
達した。
その名の彼女はすでに
他人のモノ。
手を出すのは探偵の役目じゃない。
そんなちゃっちな言葉でボロボロのプライドを周りに対しては必死に繕っていたけれど。
いつ叫びだし、
いつ消えてなくなるか。
それがわからないくらいまで
追い詰められていた。
「舞…。」
嗚咽を繰り返した
掠れた声で呼んでみても、
すでに舞は
アイツの彼女。
痛いほどに主張をする
動悸が、真実を突きつける。
推理をして犯人が名指しされた時ってきっとこんな感じなのだろう。
押し潰されるような哀しみの中でも、こんなことを思う自分の性に今日だけは吐き気を覚えた。