主
□捕らえられた怪盗に口付けを
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どれほど待っただろうか。
うーん、と軽く唸るような声をあげ彼は目を開いた。
ほんの一瞬だけ、眠たげな表情だったが即座に今の状況を把握したらしい。
お互いの間に沈黙が流れる。
最初に口を開いたのは私だった。
「お目覚めかしら?」
紅を施した唇から優しく、そう聞いてみる。
「えぇ…。」
紳士的な態度を崩さない。
流石キッド、といったところだろうか。
「素敵な格好。」
本心からそう言ったのだが、
どうやら怪盗には皮肉に聞こえたらしい。
「それはどうもお嬢さん。いや、女王様…とでもいうべきでしょうか?」
身動きが取れないようにされた
彼はそう軽口を叩く。
「ご名答。さすが怪盗キッドね。」
ご褒美、そう心の中で呟き
彼に自分の紅を重ねる。
そして、無理やり彼の口を舌でこじ開け口の中で溶かしていた媚薬を彼にも含ませる。
キスしかしていないが、
酷く興奮しているのは媚薬のせいなのかもしれない。
「随分、扇情的な格好をなされているようで。」
「どうかしら…。似合う?」
「もちろん。」