短編小説

□約束のキスをもう一度
1ページ/2ページ

〜幸村side〜



俺の視線の先には、楽しそうにテレビを見ている夏音。俺と夏音は生まれた時からずっと一緒、いわゆる「幼馴染」という関係だ。



そして俺は、夏音に好意を抱いている。



「ねえ、夏音。」


『ん、何ー?』


「幼稚園の時さ、」


『うん。』


「・・・いや、なんでもない。」


『えー!なんだよー!』


「ふふ、間抜けな顔してるね。」


『これでも女の子だし!』


幼馴染みって、近いようで遠い。
ずっと一緒だと思っていた。だけど夏音はどんどん綺麗になっていって。お互い部活のこともあるし、会う時間も少なくなっていった。
それに、夏音はあの時の約束を覚えていないんだろうなあ。
・・・俺は覚えているよ、ハッキリと。



















「夏音、おおきくなったらおれとけっこんしようね!」


「うん!けっこんする!」






―――――――ちゅ。

















大きくなったら結婚する、と約束のキスをした。もうその時から俺は夏音のことが好きだったんだろうな。



『ねえ、精市。』


「ん?なんだい?」


『幼稚園で思い出したんだけどね、
――――大きくなったら、結婚する。って覚えてる?』


「、え?」


『いや、なんかそういうこと言ったなー、ってね!そういえばあれが私のファーストキスだー!』


「・・・夏音、覚えていたんだね。」


『うん!』


「今は、どうなの?」


『え?え、今って・・・』


「今の、夏音の気持ちのことだよ。」


『え、えっと、ええ〜』


顔を赤らめてもじもじする夏音。

・・・期待しても、いいのかな?


「俺は、好きだよ。」


『!?』


「夏音の気持ちを知りたい。」


『え、えっと・・・私も、あの約束をした時から、好きでした。』


「やっと言ってくれたね。」


『うあああ!恥ずかしいー!』


「ふふ。」


ああ、凄く嬉しい。もうとっくの昔に忘れているのかと思っていた。というか俺達かなり前から両想いだったのか。


「夏音、」


『・・・はい。』


「キス、しようか。」


『!?』




「約束のキスだよ。」




約束のキスをもう一度。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ