黄金魂
□Love grows
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黄金聖闘士たちが邪神ロキを倒し、アスガルドには再び平和と厳しい冬が訪れた。戦いで崩壊してしまったアスガルドの大地は、少しずつだが、元の姿へ戻ろうとしていた。
リフィアはひとり、ワルハラ宮から少し離れたところにある、大木の側に立っていた。
普段は、今までと同じようにヒルダに仕え、教会で子供たちの世話をしたりと、忙しい毎日を過ごしている。そのほうがかえって有り難かった。ひとりになると、あの人を思い出してしまうから。そんなときは、決まって泣いてしまうから。
「…うっ…」
泣ける場所はここしかなかった。しゃがみこんで、しばらく嗚咽をもらしていると、人の気配がした。顔を上げるとフロディがいた。
「ここにいたのか…リフィア…」
慌てて涙を拭うリフィアを、フロディは少し辛そうに見つめた。
「リフィア…泣きたいのなら、泣くがいい。私の前で我慢するな。」
「フロディ…」
「お前が泣いていたのは…アイオリアのことであろう…」
「…っ!」
リフィアの肩が震えた。フロディは、そっとその小さな肩を抱いた。リフィアは、そのまま少しだけ泣くと、何とか笑顔を作って言った。
「…ごめんなさい、もう大丈夫。」
「謝るな、リフィア。…こんなことくらい、なんでもない。…なんでもないんだ。」
「フロディ…?」
「リフィア、私は…お前の事を…」
「え…」
リフィアは、驚いたように息を飲む。フロディは、リフィアの正面へ向き直った。
「お前がアイオリアのことを慕っているのはわかっている。…それでも構わない。私はお前の側にいたい。力になりたいのだ。」
「フロディ…」
リフィアは、大きな瞳を見開き瞬かせた。