dream(連載)@

□Amazing kissB
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サガ、と名乗った目の前の男を、名無しさんは不思議な気持ちで見つめた。見た目や声はそっくりだけれど、物腰や醸し出す雰囲気はカノンとは別のものだった。

「貴女は…我が弟カノンを知っているのか?」

「はい…」

名無しさんが頷くと、サガがフッと笑みをこぼす。

「カノンが貴女に何か迷惑をかけてはいないか?」

「そんな…とんでもないです、カノンは、私の命の恩人です…」

「カノンが?」

名無しさんはサガに、カノンとの経緯を話した。

(珍しいこともあるものだ…あのカノンがそこまで他人に関わるとは…)

サガは名無しさんをじっと見た。

「もしや…貴女はカノンの…恋人か?」

「!?…いえ、私は…」

名無しさんは咄嗟に否定し、赤くなって下を向いた。

「それならば…これ以上は立ち入らぬほうが貴女の為だ。」

サガの言葉に、思わず聞き返す。

「何故です?」

「我々には何を置いても優先すべき使命がある。それに…」

サガは目を閉じて続けた。

「カノンは…いや我々は罪深く業の深い人間…普通の幸せは望めないのだ。」

「…え?」

それだけ告げるとサガは踵を返す。

「あのっ…」

名無しさんは声をかけるが、サガは振り返らず去っていった。
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