小説
□LOVERS
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「ミロさん、聞いてもいいですか?」
「アテナ。ミロ、とお呼びください。」
少しはにかんでアテナが尋ねる。
「…ミロは恋人はいないんですか?」
「恋人はいません。…聖闘士には必要のないものですから。」
ハッとして沙織が口元に手をあてる。
「…ごめんなさい。正義や私の為に命をかけてくれているのに…。」
「でも、人を想う気持ちって、すごい力になると思うんです。それに…」
アテナは少し眩しそうに笑ってミロを見た。
「ミロは、そんなにキレイなのに、もったいないです。」
「…アテナのお言葉には、いつも何か気付かされることがあります。ありがとうございます。」
日課の鍛練を終えた後、ミロはアテナ神殿を訪れていた。アテナ沙織とお茶するために。ミロが訪れると、アテナはとても嬉しそうに迎えてくれる。聖域では数少ない女性同士、この頃では、たまにこうしておしゃべりするのも悪くない、とミロは思っていた。
「また話に来てくれますか…?」
「はい、喜んで。」