黄金魂

□True blue
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アテナ不在の今、地上を制圧しようとする、邪神ロキ 。大樹ユグドラシルは消滅したかに見えたが、禍々しい小宇宙がアスガルドを覆い尽くそうとしていた。
フロディはオーディーンローブを携え、ウートガルザとの戦いで傷付いた身体を引きずりながら、オーディーン像を目指していた。

あのとき、ああしていればよかっただとか、そんなことをしなければよかっただとか…いくら後悔しても、二度と取り返しのつかないこともある。

なぜ、彼女の言葉に耳を貸さなかったのだろう。アスガルドの大地を、人々の暮らしを守りたいという、リフィアの声に。

浮かれていたのだろうか。この手に、アスガルドを、リフィアを護れる力を手に入れたと…思いあがっていたのだろうか。


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オーディーン地上代行者であったヒルダ様が病に倒れた後、私は、次期代行者となったアンドレアスから神闘士に抜擢され、神闘衣を与えられた。更に、ユグドラシルから与えられる力で小宇宙は飛躍的に高まった。厳しい寒さに閉ざされていたアスガルドに、作物が実り始め、人々の暮らしも豊かになり始めていた。それらは全て、アンドレアスとユグドラシルのお陰だと、そう信じていた。
アンドレアスに反旗を翻したリフィアが助けを求めてきた時も、その考えは変わらなかった。

『フロディ!力を貸してほしいの。』

『リフィア?どうしたというのだ?』

『アンドレアスのことよ!今すぐユグドラシルを破壊しなければ、この大地に災いが起こってしまうわ!』

『何を根拠にそんなことを?今のアスガルドをみるがいい。お前も知っているだろう。アンドレアス様とユグドラシルのお陰で、民の暮らしは豊かになっている。そして私も、神闘士として素晴らしい力を手に入れたのだ。』

『それはまやかしよ。アンドレアスは、巧みな言葉で人々を騙しているの。ユグドラシルから危険なものが生まれようとしているのがわからないの!?私の話を信じて、フロディ!』

『リフィア、お前こそ、病に倒れたヒルダ様のうわ言に惑わされているのだ。勝手な振る舞いをすれば、いくら私でもお前を庇いきれるとは言い切れないぞ。』

『…フロディ…』

『これはお前の為だ。わかったらおかしなことは考えるな。』
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