黄金魂
□True blue
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勇者の間、ヴァナヘイム。アンドレアスの声が響く。
「さぁ、フロディ、剣をとれ。リフィアを命を絶つのだ。」
「…!」
フロディはジークシュベルトをリフィアに向けて放った。しかし、剣は寸前で止まった。
「如何にアンドレアス様の命でも、それだけは…それだけは……!」
私とリフィアは、生まれた境遇こそ違えど、幼い頃から共に育った仲だった。明るくて素直で、よく笑うリフィア。幼い頃から兄妹のように過ごすうち、いつしか私はリフィアに特別な感情を抱くようになっていた。
ある日、二人で屋敷の周りを散歩をしていた時のこと。リフィアは嬉々として話し始めた。
『ワルハラ宮でのお勤めが決まったの!ヒルダ様の特別なお計らいよ。』
『リフィア…この家を出るというのか…?』
『あなたの家は、代々オーディーンをお護りする使命を担う家柄…私のようなものがいつまでもお世話になるわけにはいかないわ。』
『何を言う、私は…』
リフィア、お前のことを…
『…?』
『…ヒルダ様の直々のお計らいとあれば、身を入れてお役目に勤しむがいい。』
『はい!』
リフィアが嬉しそうに頷いた。お前の笑顔を守りたい。オーディーンを守護すること、即ちそれは、リフィアを護ることでもあったのだ。
ウートガルザの放った太刀筋が閃光となってリフィアの身体に命中した。フロディは驚愕し叫ぶ。
「ウートガルザ!…貴様…!」
リフィアが、アイオリアの腕の中で消滅していく。これが…私の望んだアスガルドなのか?
アンドレアス様を信じて戦って来た結果がこれなのか?
『違う…!こんなものは…』
フロディは、ウートガルザと対峙したアイオリアの前に進み出た。
「行け…アイオリア。何が真実か、今の俺には解らぬ。…だが、はっきりわかるのは…リフィアを手にかけたこの男だけは許すわけにはいかぬということ…!」
立ち上がったアイオリアがフロディに告げる。
「今の自分に出来るのは…自分の信じる道を進むことだけ。…リフィアが言った言葉だ。」
リフィアの言葉…
「自分の信じる道…礼は言わぬぞ、アイオリア!」
フロディはウートガルザに向き直った。