黄金魂

□Love grows
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それから7年の歳月が流れた。

その日、フロディは、病で療養しているの父親の部屋を訪れていた。父親は、ベッドで横になっていた身体を起こした。

「お前もそろそろ身を固めてはどうだ?」

「父上…」

「我が家系は、代々オーディーンを守護する役目を担う家柄…よもやお前の代で終わらせる訳にはいかんだろう?」

「…はい。承知しております。」

「後継ぎができれば、私も安心してあの世に旅立てるというものだ。」

彼は少し冗談混じりに薄く笑いながらそう言った。

フロディは屋敷を出ると、当てもなく近くの丘へ向かって歩いていた。丘の上の大きな木の下にたどり着く。

『いずれ伴侶を持たねばならないことはわかっている。だが、私は…』

フロディはぐっと拳を握り、大木に向かって繰り出した。

「フロディ?」

はっと振り返ると、リフィアが立っていた。

「どうしたの?こんなところで…」

「…いや、何でもない。」

平静を保って拳を下ろした。

「旦那様の…具合はどう?」

「あぁ、今日はいくらか良さそうだった。」

「そう…それは良かったわ。」

「…」

「フロディ、何かあったの?」

リフィアは、黙っているフロディに尋ねた。

「何かあったのなら、話してほしい…。フロディ…私ね、この7年、あなたに本当に感謝してる。いつも側にいてくれて、私を支えてくれて…」

リフィアは、真剣な眼差しでフロディを見つめた。

「だから、あなたに何かあったのなら、私もあなたの力になりたいの。」

「リフィア…」

フロディは自嘲気味に笑った。

「父に、我が家系を私の代で絶やすな、と釘を刺されたのだ。」

「あ…」

言わんとする事を理解して、リフィアはフロディを見つめた。

お前がアイオリアを想っているのは、誰よりもこの私が知っている。ましてや、この世を去った者への想いに勝つことなど、ありはしないだろう。だが、それでも…

フロディは、少し苦しそうに言葉を絞り出した。

「私の気持ちは…7年前から変わってはいない。お前以外の女性を伴侶とするなど、私には考えられぬ。」

「フロディ…」

リフィアは、フロディの手を取り、静かに言った。

「私は…きっとアイオリアのことを忘れることはないでしょう。彼はいつまでも生き続ける、心の中の大切な思い出として…でも、フロディ、私は…あなたのことも、とても大切に想ってる。」

「…リフィア…」

「こんなの、おかしいわよね…でも、これが今の私の正直な気持ち。」

「いや…」

この7年、知りたくても聞けなかった。たった今、初めて聞くことができたリフィアの想い。

「リフィアよ。お前がアイオリアを慕うことに、口惜しく歯痒い思いがなかったとは言えぬ。だが、何故だろうな、今はとても清々しい気持ちだ。」

もう、迷いはない。
私は、生涯をかけてリフィアを護り、愛する。

「行こう、リフィア。」

フロディは、リフィアに手を差し出した。リフィアがその手を取ると、ふたりはそのままゆっくりと歩き出した。

終わり
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