黄金魂

□白い婚礼
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ー リフィア…この身体は消滅しても、俺の魂はずっとお前を見守っている…ー

ーアイオリア!…わたし…あなたのこと…ー



邪神ロキが消滅してから半年余り。少しずつではあるが、アスガルドは元の姿を取り戻しつつある。

オーディーンの地上代行者として、黄金聖闘士達と共にロキを倒したリフィア。
当初ワルハラ宮では、彼女を中心にアスガルドを再建していこうという方針になりつつあった。リフィアが皆の前に進み出る。

「皆さんにお話があります。ヒルダ様は、神オーディーンの地上代行者としてだけではなく、もはやアスガルドの象徴でもあります。それに比べて、私は経験も無く、ヒルダ様の足元にも及びません。それに相次ぐ地上代行者の交代は、アスガルドの民を混乱させてしまうでしょう…。
幸い、ヒルダ様の体調は元に戻りつつあります。どうか今まで通り 、ヒルダ様を中心としてアスガルドを復興させていきませんか。もちろん、私に出来ることは精一杯努めます。…いかがでしょうか?」

「私は…リフィアの意見に異論はありません。」

フロディの言葉に、他の神闘士達も頷く。ヒルダがリフィアを見つめた。

「リフィア…」

「ヒルダ様、今まで通り、ヒルダ様にお仕えさせていただけますか?」

「リフィア…あなたの気持ちはわかりました。私に出来ることなら、務めましょう。あなたと二人三脚で、そして皆の力でアスガルドを立て直していきましょう…!」

こうして、残された人々は復興に取り組んだ。半壊したワルハラ宮も少しずつ建築が進んでいた。

アスガルドには数多くの温泉が湧き出る。そして、ワルハラ宮にもそれを利用した浴場が造られている。
ある夜。リフィアは湯浴みをしていた。浴場の天井は一部、空が見えるように設計されている。温かい湯に身体を浸しながら、胸にかけられている、アイオリアから貰ったペンダントを手に取った。

(……っ…)

アイオリア。彼の事を1日だって忘れたことはなかった。誰にも気付かれることなく泣ける場所は、ここしかない。リフィアの瞳からぽろぽろとこぼれ落ちた涙の雫は、湯の中にゆらゆらと落ちて見えなくなる。彼がいなくなった現実が今でも辛い。天井の夜空を見上げていたリフィアは、流星を目にした。

(あ、流れ星…あれ…?)

心なしか、アイオリアのペンダントが仄かに光ったような気がした。だが、そんな気がしたのは一瞬だけで、それから何度見直しても、それは鈍い輝きのままだった。

(気のせい…よね。しっかりしなくちゃ。)
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