きみのうた

□出会い
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「なんだこれは」

報告書を眺めなら目の前にいる相手を睨むのは、この調査兵団兵士長のリヴァイ兵長だ
黒髪に細長いキレ目、青の瞳が特徴的である

調査兵団に入団したばかりの気の小さそうな兵士が、睨んだリヴァイ兵長を前に今にも泣きそうな顔になってしまっている

「も...申し訳ありません!報告がうまくまとまらず...その...」

「まとまらない?むしろ逆だ。なにも重要な事が書かれていない」

ギロリと睨むリヴァイに新米兵士は青ざめていく

はぁ、とため息をつきリヴァイは持っている紙を破り捨てた

「もういい。さがれ」











「お〜い!」

聞き覚えのある声に振り返ることなく歩き続ける

いや、というか逃げた方がいいのだろうか

あれこれ考えている内に“あいつ”がリヴァイに追いつく

「ちょっと〜。新米君泣いてたよ〜」

やれやれ、というように両手をあげため息をつくポニーテールに茶髪でメガネが特徴の女性

「変態メガネ野郎」

「むっつりつり目兵長?」

「そこになおれ。今すぐ切り刻んでやる」

「あれ?おかしいなぁ。これってお互い様なんじゃないの〜?」

そう言いながら走って逃げるこの女性はリヴァイと昔からの戦友、ハンジである

「はぁ...たく...」

追いかける気力もなく去って行くハンジをギロリと睨みため息をつく

本当に今日は厄日だ...

朝から仕事に追われ新米兵士には手を焼きハンジには散々言われイライラは絶頂にきていた

いや、朝からではない

もうずっとこんな生活を続けている気がする

忙しく眠れない日々、うまくいかない調査、そこからくるストレス

目の下はクマができ、ただでさえ目つきが悪いというのに最近はそれも数倍に増し怖いと噂になっている

色々考えている暇さえなく、自室へと戻り作業をしようと足を返した時1人の女の子が視界に写った

「あれ〜...ここらへんって聞いたんだけどなぁ...」

なんでこんなとこに一般の人が...

そう思いながらも気にする様子もなく横を過ぎ去る

上官の部屋が並ぶこの通路に見合わない一般人がうろうろしている

はたからしたらおかしいかもしれないが、この後の仕事量を考えるとそんなことはどうでもよくなってくる

無表情で通り過ぎ自室へ入ろうとした時誰かに服の袖を引っ張られた

「あの、ここは調査兵団の寮ですか?」

「......」

胸までの長さの茶色の髪に黒色の瞳、なにも特徴なさげな普通の女の子がそこにはいた

彼女は不安気な表情でこちらを見、首を傾げている

そう、これが...

2人の出会いだったんだ

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