進撃の変人(番外編含む)

□親戚のリヴァイさん。
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燕の雛が産毛頭でこちらを見ていた。
雛は5羽いて、親がせっせと餌を運ぶ。にゃあ子が歩いてくるが、狙う様子はない。

彼女は燕は食べてはいけないと、学習している。


リヴァイは縁側から上る一同に続くが、レイラを見てある考えを懐く。


(………あのババァ………………。)




数時間後。
山田さんの親戚と、近所の住人が集まっていた。リヴァイはあまりにも騒がしいから、きぃちゃんとステラ(今は暇つぶし)で、ひんやりした廊下に座蒲団をしいて、がやがやする部屋の気配に背中を向けた。


ステラはお絵描きをしている。
きぃちゃんは、リヴァイがいるが彼女が居るから機嫌は悪くないようだ。


ふと、にやぁーと笑いステラがリヴァイの膝を触る。


「兄ちゃんみてみてー。きぃちゃんとちばみ描いたー。…これ兄ちゃんね。こっこさんと飛ぶんだよ。」


兄ちゃんと言えるようになった。はいチーズ。リヴァイは無表情でデジカメで彼女を撮影する。危ない。

指差す先には中々の絵心がある。
空を飛ぶ燕と、何故かリヴァイが燕の上にいて、鷄が空を飛んでる。
きぃちゃんが一際でかい。

ネバーエンディングストーリーのドラゴン並にでかい。リヴァイは、静かに聞いた。一応、本人は精一杯優しく聞いているが、怠そうに聞こえる。



「…毛玉がでけぇな。」

「うん!きぃちゃんがねー、おねえちゃんの魔法ででっかくなるんだよ。」


魔法少女ペンギンちゃんが、最近ドイツでは社会現象になっていた。
きぃちゃんは、ステラの服の首根っこを静かにくわえて後ろに下げる。

リヴァイに近づけたくないようだ。
しかも、唸ってきやがる。


「ヴヴう…ッ!」

「…ッチ…。」


リヴァイも面白くない。長きに渡り毛玉と少年ゴロツキは仲が悪い。
きぃちゃん的にはステラを子犬扱いしている節がある。母犬だった名残があるのか、一番小さい彼女を隠そうとしたり、首根っこをくわえて守ろうとしたり、噛んだりする。(本人は可愛がっているつもり。)




襖を開けた若い女性が話しかけてきた。朔太郎さんの姪の明美さん(28歳独身)だ。彼女は人見知りしないドイツではからの天使二人を楽しみにしていた。そして、リヴァイが親戚になった珍しい不憫な女性だ。



「ステラちゃん!ひさしぶりだね?…覚えてる?あけみちゃんだよ。」


「あ!あけちちゃんだー。こん…こんばんわ。」


おまけにステラは名前をよく覚えてるから、明美さんはきゅんきゅんする。さっきはペトラと遊んだが彼女はお着替えに言ったから、呼びに来た。


「お母さんが後でお着替えするってさ。…廊下じゃ暗くなぁい?」

「だいじょぶなんだよー、兄ちゃんときぃちゃんがいるからね。だいじょぶよ。」

「うわぁ。おっき!……ボルゾイ?」


明美が呟けば、きぃちゃんは気位が高いから鼻息を漏らす。そして彼女はステラの笑顔とは対照的なリヴァイを見て驚いた。暗闇に紛れすぎて同化していた。


「…ギャー?!……お。おおお男の子!!」

「兄ちゃんだよ。」

「……。」


基本黙る。リヴァイは無愛想だから明美を見ても挨拶しない。見兼ねた祖母が廊下まで出て来て、紹介する。


「…明美ちゃん、この子リヴァイっていうのよ。…娘の大学時代の恩師の養子なんだけど、その人が亡くなったから娘達で引き取ったのよ。無愛想でごめんなさいね?ドイツ人だけど、日本語ホントは上手いから。…許してやって。」


「そうなんですか……よ、よろしくね。リヴァイ君。……瞳が青くて綺麗だね。」

「……。」


ふぃ。リヴァイは顔を背ける。
明美さんは子供は好きだがクソガキは絞めたくなるタイプだった。

職業は保育士だが、中学生は嫌いだった。


(…このクソガキャァ。挨拶くれぇしやがれや。)


女性の内面とはこんなものだ。
反面ステラはおっさん相手にしても、にこにこして、言った。


「おじちゃん、ツルツルだね。
ピカピカしてるー!アハハハハ!」


「う、うん。おじちゃん世界を照らすべー!」


松田さんは、ピカピカのスキンヘッドでペトラも酷いこといった。

「…キャア?ツルツルテンテンだぁー!!…なんではげちゃったのー?」


舌を噛みきって死ねば良かったのに。の名言はまだ、言わないかわいい盛りだった。明美さんは愛想がないリヴァイに頑張って話しかける。



「…り、リヴァイ君は幾つなのかな?」

「…ぁ?」


眉間に皺を寄せて、睨み付けた。
リヴァイ少年は相槌を知らない。
明美さんは、メンチ切られて頭が真っ白になる。こんなガキは嫌だ。

(…なんじゃこのガキャアー!)

まるで、悪魔のような眼差し。
明美さんは固まる。
天使が鼻を触ってきた。
ステラは明美さんの鼻が好きだった。


「あけちちゃん、お鼻かわいいねぇ。」


「あぁ、あ、ありがとう。」


天使よ。君だけが癒しだありがとう。
明美さんは泣きそうになる。
職場でも、後輩に結婚を先越され「先輩まだ彼氏居ないんですかぁ?」と、言われぶちギレて、「アンタは仕事出来るようになってから、言えや。」と、言い返したら、仕事を辞められた。

彼女は凹みっぱなしだ。
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