進撃の変人(番外編含む)

□親戚のリヴァイさん。
4ページ/7ページ

明美さんは、恥を覚悟で言った。
天使に癒されようと。悪魔(リヴァイ)がいるが、気にしない。


「…ステラちゃん。お願いがあります。明美ちゃん、お仕事で失敗して落ち込んでるから、いい子いい子お願いします。」


頭を下げたら、ステラがにこにこ笑って頷く。母もたまに頼んでくるなら、彼女はお仕事だと思っている。


「いいよ!…いいこ。いいこ。」

「うわぁぁあああ!天使ぃぃぃ。」


だが、次瞬間。

ブシ。
きぃちゃんが、明美さんの頭を踏んづける。襖を開けた朔太郎さんが、のんびりびっくりした。



「明美ちゃん、風呂沸いたど……あんれまーふんぶげられでぇ。がわいぞうにぃ。」

「うわぁぁぁぁん!!もぅ嫌だべえ。わらずだっでぇ。恋人さぁ欲しいべやぁ!!……仕事だっでぇ、強がりは沢山だべぇぇぇぇ!!」


明美さん、号泣。
天使に癒されるどころか、犬に踏まれリヴァイにメンタルを駆逐された。

リヴァイは立ち上がり、苛ついた様子で一人歩いていく。一人になりたかった。ステラには静かに目を合わせて話した。



「…クソチビ。すぐに戻る。親父の膝に乗っとけ。」

「はぁーい。…兄ちゃんちをつけてねぇ。」

「あぁ。」


彼女には、素直に頷く。
3歳なりに、リヴァイの機嫌を見ようと頑張っているからだ。

明美さんが、朔太郎さんに慰められている。




騒がしい中、青森の一夜は過ぎる。


翌日。


よく晴れた朝だった。
今日はお盆。先祖がこちらに帰ってくる。ので、日本人の古来からの風習だ。


リヴァイは朝から唖然とした。
人間が増えている。
居間に通されて、父に聞いた。


「どういう事だ。」


「…法事があるんだよ。日本の風習でね?…ご先祖様の霊をお坊さんに供養して貰うんだ。それで、親戚が集まってて、嫌なら裏の庭に行っておいで?
ステラもペトラも落ち着かないだろうから、連れてっても良いよ。……あの子達を好奇の目でみる人も正直いるからね。…無理に行かなくていいよ。」


「…あぁ。」


リヴァイは基本的に言葉数は少ないが、元々は結構話す。だが、今はそんな気分じゃない。そう言ってる間にめんどくさいのが来た。

明美の家族やら、朔太郎の兄弟家族が来た。子供らもいるので、小学生位のが指差してくる。

リヴァイは相手にせず、廊下をわたる。


「…あー!外人だ!!」

「これ!!」


母親らしき女性が頭を殴り付ける。
リヴァイは煩わしく感じた。
自分はこの国では、外国人と奇異の目で見られる。面倒に思う。


(……うるっせぇ奴等だ………。)


自分達もドイツ人からしたら、外国人である。日本人は保守的だと感じる。
リヴァイは、子供らを無視して裏庭に回る。


そこは、きぃちゃんとステラとペトラがお絵描きをしていた。母親が喪服姿で座っていた。


「あぁ、リヴァイ君。…娘達頼める?今から法事なのよー。めんどくさいのがいっぱいでしょ?気にしなくていいから。」

「お前もめんどくせぇだろうが、何故帰って来た。ババァはともかく他のがクソだろう。」

「嫌じゃない。駆け落ちして、顔も出さないなんて。私、婚約者以外には迷惑かけてないのよ。それに、婚約者っていっても自治会のジジィが押し付けてきただけだしね。」


母親も中々の肝が座っている。
流石は、祖母の娘だ。リヴァイは聞き慣れないひぐらしの声は悪くないと思った。木を見て聞く。


「…この声は何だ。」

「蜩って蝉の仲間よ。貴女の大嫌いな虫よ。」

「日本は、クソデケェ虫の巣窟か気持ち悪い…っ。」


リヴァイ少年、蝉すら嫌がる。
蝉を嫌がる人は多いが存在も嫌がる。
鳴き声だけは悪くないから、呟く。


「…声は悪くねぇ。」

「ふふ!でしょ?…父さんの親戚、青森から出た事ない人が多いから、私達が珍しいのよ。気にしないでね。…明美ちゃんなんて、気さくにしてくれるからいい人よ。泣かさないでよ?アラサーは色々あるんだから。」

「ッチ…。」

きぃちゃんは、廊下のひんやり感を感じてステラに半分踏まれているが、気にせず寝ている。
ペトラがリヴァイの手を引いて見せてきた。バッタを。


「お兄ちゃんみてみてー。バッタさん!」

「…ペトラ。直ぐにそれを外に投げろ。」


精一杯に優しくいった。
ペトラちゃんは、首を傾げながらバッタを逃がしてやる。彼女も中々のおてんばで、男の子を泣かす。
オルオなんてよく泣いていた。


ステラは庭に自由に歩く鷄とひよこを描いていた。何か出来たから、ペトラのスカートを引っ張る。


「おねぇーちゃんみてみてー。…ひよこさん描いたー。…一緒にかこー?」

「いいよー!お兄ちゃんも一緒に書こー?」

「……クレヨンを出せ
。」


無愛想だが、面倒見はいい。
母親は立ち上がり、リヴァイに手を振る。娘達もひらひらと手を振る。


「じゃあ。リヴァイ君頼むね。…ペトラ、ステラのことお願いね。…じゃあ、お母さんすぐに戻るから、何かあったら居間に居るから。そぉっと開けてね。」


二人「はぁーい!」


二人は素直に手を上げる。
リヴァイは母親の苦労を知る。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ