進撃の変人(番外編含む)
□親戚のリヴァイさん。
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明美さんは、恥を覚悟で言った。
天使に癒されようと。悪魔(リヴァイ)がいるが、気にしない。
「…ステラちゃん。お願いがあります。明美ちゃん、お仕事で失敗して落ち込んでるから、いい子いい子お願いします。」
頭を下げたら、ステラがにこにこ笑って頷く。母もたまに頼んでくるなら、彼女はお仕事だと思っている。
「いいよ!…いいこ。いいこ。」
「うわぁぁあああ!天使ぃぃぃ。」
だが、次瞬間。
ブシ。
きぃちゃんが、明美さんの頭を踏んづける。襖を開けた朔太郎さんが、のんびりびっくりした。
「明美ちゃん、風呂沸いたど……あんれまーふんぶげられでぇ。がわいぞうにぃ。」
「うわぁぁぁぁん!!もぅ嫌だべえ。わらずだっでぇ。恋人さぁ欲しいべやぁ!!……仕事だっでぇ、強がりは沢山だべぇぇぇぇ!!」
明美さん、号泣。
天使に癒されるどころか、犬に踏まれリヴァイにメンタルを駆逐された。
リヴァイは立ち上がり、苛ついた様子で一人歩いていく。一人になりたかった。ステラには静かに目を合わせて話した。
「…クソチビ。すぐに戻る。親父の膝に乗っとけ。」
「はぁーい。…兄ちゃんちをつけてねぇ。」
「あぁ。」
彼女には、素直に頷く。
3歳なりに、リヴァイの機嫌を見ようと頑張っているからだ。
明美さんが、朔太郎さんに慰められている。
騒がしい中、青森の一夜は過ぎる。
翌日。
よく晴れた朝だった。
今日はお盆。先祖がこちらに帰ってくる。ので、日本人の古来からの風習だ。
リヴァイは朝から唖然とした。
人間が増えている。
居間に通されて、父に聞いた。
「どういう事だ。」
「…法事があるんだよ。日本の風習でね?…ご先祖様の霊をお坊さんに供養して貰うんだ。それで、親戚が集まってて、嫌なら裏の庭に行っておいで?
ステラもペトラも落ち着かないだろうから、連れてっても良いよ。……あの子達を好奇の目でみる人も正直いるからね。…無理に行かなくていいよ。」
「…あぁ。」
リヴァイは基本的に言葉数は少ないが、元々は結構話す。だが、今はそんな気分じゃない。そう言ってる間にめんどくさいのが来た。
明美の家族やら、朔太郎の兄弟家族が来た。子供らもいるので、小学生位のが指差してくる。
リヴァイは相手にせず、廊下をわたる。
「…あー!外人だ!!」
「これ!!」
母親らしき女性が頭を殴り付ける。
リヴァイは煩わしく感じた。
自分はこの国では、外国人と奇異の目で見られる。面倒に思う。
(……うるっせぇ奴等だ………。)
自分達もドイツ人からしたら、外国人である。日本人は保守的だと感じる。
リヴァイは、子供らを無視して裏庭に回る。
そこは、きぃちゃんとステラとペトラがお絵描きをしていた。母親が喪服姿で座っていた。
「あぁ、リヴァイ君。…娘達頼める?今から法事なのよー。めんどくさいのがいっぱいでしょ?気にしなくていいから。」
「お前もめんどくせぇだろうが、何故帰って来た。ババァはともかく他のがクソだろう。」
「嫌じゃない。駆け落ちして、顔も出さないなんて。私、婚約者以外には迷惑かけてないのよ。それに、婚約者っていっても自治会のジジィが押し付けてきただけだしね。」
母親も中々の肝が座っている。
流石は、祖母の娘だ。リヴァイは聞き慣れないひぐらしの声は悪くないと思った。木を見て聞く。
「…この声は何だ。」
「蜩って蝉の仲間よ。貴女の大嫌いな虫よ。」
「日本は、クソデケェ虫の巣窟か気持ち悪い…っ。」
リヴァイ少年、蝉すら嫌がる。
蝉を嫌がる人は多いが存在も嫌がる。
鳴き声だけは悪くないから、呟く。
「…声は悪くねぇ。」
「ふふ!でしょ?…父さんの親戚、青森から出た事ない人が多いから、私達が珍しいのよ。気にしないでね。…明美ちゃんなんて、気さくにしてくれるからいい人よ。泣かさないでよ?アラサーは色々あるんだから。」
「ッチ…。」
きぃちゃんは、廊下のひんやり感を感じてステラに半分踏まれているが、気にせず寝ている。
ペトラがリヴァイの手を引いて見せてきた。バッタを。
「お兄ちゃんみてみてー。バッタさん!」
「…ペトラ。直ぐにそれを外に投げろ。」
精一杯に優しくいった。
ペトラちゃんは、首を傾げながらバッタを逃がしてやる。彼女も中々のおてんばで、男の子を泣かす。
オルオなんてよく泣いていた。
ステラは庭に自由に歩く鷄とひよこを描いていた。何か出来たから、ペトラのスカートを引っ張る。
「おねぇーちゃんみてみてー。…ひよこさん描いたー。…一緒にかこー?」
「いいよー!お兄ちゃんも一緒に書こー?」
「……クレヨンを出せ
。」
無愛想だが、面倒見はいい。
母親は立ち上がり、リヴァイに手を振る。娘達もひらひらと手を振る。
「じゃあ。リヴァイ君頼むね。…ペトラ、ステラのことお願いね。…じゃあ、お母さんすぐに戻るから、何かあったら居間に居るから。そぉっと開けてね。」
二人「はぁーい!」
二人は素直に手を上げる。
リヴァイは母親の苦労を知る。