進撃のリヴァイさん!!!

□進撃される男達
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「リヴァイ、泊めてくれ。」

「ぁ?」


寒い夜。衝撃の夜から一夜開けた。また、夜。
リヴァイは珍しく、一人で住まう一戸建ての自宅に戻っていた。愛しの「恋人」となったクソ間抜けタヌキ人間との仲は、徐々に進展している。


彼は作戦を練るために、こうしてたまに自宅に戻り、「お付き合い」の段取りを、作成する。事務仕事も早いのはそのおかげ、らしい。

リヴァイが「お付き合い」を始めた翌日の夜。
いきなり、年上のやたら鼻と背が高い友人?ミケ・ザカリアスが訪ねる。

金色の髪に、雪を乗せる。チェスタコートはチャコールグレーで靴は、緑。

マフラーは黒。かなり決まっている。肩にはボストンバックを背負う。

彼は今日、追い出された。ミケは、鼻をすんすんさせ呟いた。

リヴァイも割と喋るが、自ら話す時は、気分が乗ったりそんな状況な位で、普段は話を聞く側。

ミケの低い声に、リヴァイは面倒臭そうな顔で、ストライプのシャツに、黒いセーターに、ダークグレーのパンツにスリッパだ。

夕飯をステラに届けさせる予定だったのに、訪ねて来たのが、むさいの。


「…追い出された。」

「ぁ?」

「エルヴィンはマリーをエステさせに、シガンシナ温泉に行ってしまった。…ハンジの家は腐海だ。生きられん。頼む。」


「…ッチ…帰れ。今から飯だ。」


「……豆乳鍋か。いいな。」


流石はミケさん。
ラル家の献立を網羅してしまう。しかも、届けさせる人間まで当ててしまう。

にや。と笑い、ずかずかリヴァイ宅の玄関に入るが、家主に顎を蹴られた。
かなりの跳躍力。


「…お邪魔すぶっ」

「消毒しろ。靴下と足の裏を拭け。汚ねぇな。」

「ん。」


ミケは従順に頷く。
とりあえず、リヴァイは入れてくれたから、彼は無言で頭を下げる。
196cmと、160cm。二人の距離感が微妙にある。ミケは、リヴァイからはな垂れるほのかな良い香りを、すんすんして尋ねる。

「……どうだ。」

「あ?」

「………早すぎだろう。」

「指輪を受け取った。奴なら、俺にプロポーズしてくるだろう。…何がおかしい。」

ミケは、吹き出すのを必死に我慢する。指輪だけ渡して、逆にプロポーズさせるのは、今までにない新しいタイプの求婚?だ。

(……あの子は、困ったろうな。)


彼は、ステラを労いたくなる。
彼女は、まだ家で準備をしている。豆乳鍋は、リヴァイがまぁまぁ食べる。

これは、彼女らの家族が実験を繰り返して、ようやく見つけたリヴァイが食べれるものを、今も模索中だ。

但し、一人鍋である。
潔癖症は、直らない。唯一、ラルさんの母と娘らの料理は慣れた。
リヴァイは、白い壁一色の廊下を抜けてリビングにミケを通す。

ミケは、コートを脱いでソファーに座ろうとしたら、顎にナイフを突き付けられる。

「すまん。」

「何度言やぁ、気が済む。死にてぇのか。手洗いうがいをしろ。汚ねぇな。……それが出来ねぇなら、消えろ。」


流石はリヴァイさんだ。
インフルエンザが流行する季節を問わず、手洗いうがいを徹底し過ぎて風邪を引いた事が一度もない。

「風邪をひく。」のが、リヴァイは腑抜けだと思っているようだが、とあるクソ間抜けタヌキ人間には、看病をしたがり嫌がられる。

ミケは、謝り洗面所に向かい手を洗う。鏡越しから、何か睨まれる。

(………相変わらず、めちゃくちゃ睨み付けてくるな。)


ミケは怯まない。伊達に何年の付き合いでもない。リヴァイの潔癖過ぎる性格を把握し、「ミケ。」と、書かれたタオルを渡され、話しかける。

「たまには、男の会話を」

「……断る。10年もプロポーズしねぇ馬鹿とする気はねぇ。」

「…指輪渡して、プロポーズを逆に脅迫したのは世界的にも、リヴァイ。お前だけだと、思う。…すん。」


ミケが鼻を鳴らして、玄関の方を向けば、インターフォンが鳴る。
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