君を想う

□第四話
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ネタ帳を満足げに見ている野崎を放ておき
野崎の後ろから仲良く話しながら
歩いている二人
もちろん、御子柴本人は未だに柊神奈だと気がついてはいない

なぜ気づかないのかは、本当に謎だ…
人間というのは、メガネ一つで変わってしまうのだろうか… 
ネタ帳の右下の方をトントンと叩きながら考え込む
まぁとりあえず。今度の恋しよっ!は
マミコが不良から友達を助ける。
そういう設定で行こう。うん!
と決め込んだところで家の前につき

家の鍵を取り出し家のドアを開け
神奈や御子柴を招き入れる。

「梅っちお風呂貸して〜汚れてて…」
「わかった着替えは、隣の部屋の洋服タンスの中にあるから」
「ありがとー」

そんな会話を聞いた御子柴は思った
本当にこいつら出来てないのか?…と
それもその筈だ。いくら少コミを書いている漫画家といえど
女物の服がそんなにたくさんあるはずがないと…

「出来てるだろ!」

ビシッと指を野崎を差しながら言えば

「何がだ?」

首をかしげながらそう言えば
説明が恥ずかしいのか
顔を赤らめながらどんどん俯いていく
タンスから服をとってくれば
浴室の方へ向かい鍵を閉め
お風呂に入っている間
二人は

「長いな…風呂…」
「そうだな…」

ボーッとしていると野崎が冷蔵庫に向かい

「なにか飲むか?」
「ん…あぁ」

そう言って先ほど出た際に帰りに買った飲み物を
冷蔵庫から取り出せばコップに飲み物を注ぎ
御子柴に手渡す

「サンキュー」

受け取り一口口に含んだところで
神奈が上がったのかレースとフリルのついた
可愛らしいパジャマで上がってきて

「お風呂頂いたよ〜」

タオルで頭を拭きながら来れば
甘い香りが御子柴の鼻を霞める

「御子柴先に入っていいぞ俺、もう少しこれやりたいから」

そう言って叩いたのは
ネーム段階の紙だった…
あぁ…もう、さっきの事ネームにしてるんだね…
呆れを通り越しある意味尊敬してしまう。
御子柴が浴槽へ向かったことを確認すれば

「ねぇねぇ梅っち。」
「なんだ?」
「マミコって…御子柴くん?」
「………よくわかったな」

あぁ…私の感覚は間違いではなかったのかと思うと
そこに置いてあるコップに目を移し
誰も飲んでいないものだろうそう思い
先ほど御子柴が飲んだコップに口をつけて
湯上りのせいもあり
喉が渇いていたため一気に飲み干す
それを見た野崎が

「あ…」

と声を漏らすが時すでに遅し
飲み干した姿を目撃すれば。まぁいいかと
受け流しカリカリとネームの続きを書き続ける。

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