めいこい 続き物

□やっぱりもう一度【2】
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ーーそんなこんなで、声をかけられた子ー綾月さんの希望でなぜか夜中の公園に来ている。
しかもこの子は僕が記憶を無くしたというか、意識を取り戻した場所に真っ直ぐ向かっていった。

ーー本当に何か知ってるのかな?

『…ここで良いですか?』

『構わないよ』

一月ほど前のある夕方、気がついたらここで倒れていてそれまでの記憶を無くしていた。
名前、年齢、自分は誰なのかがさっぱり分からない。
でもあのお店でマジックをして生計を立てていた事は曖昧に覚えていた。
その日出勤してこない自分を探しに来た同僚に連れられて店に行った日からは、特に問題無く生活出来ている。
それまでの自分の事を周りに聞いてみても、店での様子以外は誰も知らなくて、以前の僕は自分の事を話さないタイプだった様だ。
それであまりにも何も分からないのを見かねた店長が、お店のブログで簡単に取り上げてくれたのが先週末の事。
「知り合い」を名乗るお客さんが何組か現れたけど、どれも面白がってるだけの冗談で適当にあしらってきた。
妙な事を言い出す人もいたから、件の記事も下げて貰おうかと思っていた所だ。
…この子は記事については知らなかったみたいだけど。

「えっと…それで、僕が君の知り合いに似てるんだっけ?」

「はい、似てるというか、瓜二つというか…」


そんなに似てるんだ?

「…そうかあ。でもごめんね、まったく思い当たらないかな…」

「そう…ですよね」

「因みにその人とはどういう関係だったの?」

…さっきのお店でのやり取りだと予測はつくけど、一応確認しておいた方が良さそうだ。

「えー、っと………その…………。
前に付き合ってた人です」

「あ…やっぱりそうなんだ」

ーーー気不味い。

「…………本当になんにも思い出さない
……ですか?」

『うーん、残念だけど…』

不躾かとも思いつつ彼女の事をよーく見てみても、全く思い出せそうな気配は無かった。

『そうだ、写真は無いの?』

付き合ってたなら写真位はあるだろう。
それを見ればすぐ分かりそうなものだ。
どうして気付かなかったんだろう?

『あ…それが………』

『?』

突然、彼女の目から大粒の涙が溢れ出した。

「え、だ、大丈夫?」

「え?あ!す……すいません…!
…………グスッ」


………
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