めいこい 続き物

□やっぱりもう一度【3】
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そのまま1週間ほど忙しい日々を過ごして、流石に同僚達も気付いてきた様だった。
聞こえるか聞こえないか、いや、声はひそめていても敢えて聞こえる様に言っているのか。

「最近、綾月さん来ないねぇ」

「どうしたんだろうねぇ」

「ケンカでもしたのかな?」

「振られちゃったのかも」

「「……………………」」

こちらの反応を待っているのがバレバレだから無視して開店準備を進める。


「…気になりますねぇ」

「お兄さん達は心配ですねぇ」

「また会いたいですねぇ」

「「……………………」」

『あー、もう分かりましたよっ』

「あれ。ーーは、綾月さんが来ない訳を知ってるんですねぇ」

「傷をえぐる事になったら大変ですねぇ」

『……じゃあ話しません』

「冗談だよ。本当に突然どうしたんだよ?
ケンカ?早く仲直りしろよ」

「まさか振られた?」

『……いえ、元々付き合ってた訳でもありませんから』

「え?違うの?」

「じゃあなんで急に来なくなったんだよ」

『それは……繁忙期に入るからしばらく来るのを控えてくれと僕が…』

「はあ?別に何も変わんねーだろ」

『でも開店前にも入れてあげてたし』

「そりゃあ、いつも来るの早かったし。
でもあの子は可愛いから構わねーよ。
俺たちも会いたいしなぁ?」

「…関係無いなら睨むなよ」

『まあとにかく店には来るなと言っているのでもう来ないんじゃないでしょうか』

「えぇ?なんだよそれ」

「冷たいヤツ。お前に会うためとはいえ、ちゃんとお客様として来てくれてたのに、もう来るなはねーだろ」

「お前あの子狙ってたんじゃねーの?」

『…僕はあくまであの子の元カレに似てるってだけですから。僕がどうこうする話ではありませんよ』

「…へえ。さっぱりしてんだな」

「側から見てりゃ付き合ってる様にしか見えなかったけどな」

「その消えた彼氏って、やっぱりお前なんじゃねーの?」

『…違うと思います』

「ふぅん。
……お前は会いたくねーの?」

『…………』

「………まぁ良いや。残念だなぁーもう来ないのかぁ」

「あまり無理すんなよ」

『別に無理は……。
……ありがとうございます』

まぁ周りからもそう見られていたって事は、会わないと決めて良かったんだろう。


※続く※
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