めいこい 続き物
□やっぱりもう一度【4】
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ーーーそれから2〜3日後
同僚の小田から、今月中で期限が切れるというテーマパークのペアチケットを押し付けられた。
彼女が券を余らせてたらしく、それで綾月さんを誘えという。
今更そんな事出来ないから受け取るまいとしたけど、まあ相手も手品師で、いつの間にか胸ポケットに入れられていた。
…心配してくれてるのは分かるけど、気が進まない。
どうせ横恋慕なのに。
気不味いながらも、聞いていた電話番号にかけてみた。
「…久しぶり。元気?」
「…はっ…はい!ど、どうしたんですか?」
「あのさ、小田って覚えてる?」
「?はい。いつも彼女さんの話をしてた…」
「そうそう。あいつからテーマパークのチケット貰ったんだけど、一緒にどう?」
「えっ、私で良いんですか?でもなんでチケットを?」
「うん。というか、綾月さんを誘えって指名されたよ。
もうすぐ期限が切れるのに行けないんだってさ」
「あ、そうなんですか…。
でもそこのテーマパークは期限が切れても少しの間は使えるはずですよ?」
「そうなんだ?」
これって暗に断られてる?
それならそれで都合が良いはずなんだけど…。
……急に息が苦しくなったな。
「あ、でもせっかくだから貰っちゃいましょう!
お土産を沢山買って行けば良いですね♪」
「…はは、そうだね」
無理やり軽く返しながらも、沈みかけた気持ちは明らかに浮上していて、まずいなあと思う。
「それで今度の水曜日はどうかな?」
「その日は予定が入っちゃってて…。
あっ、でもその次の水曜日なら空いてます!
定休日……ですよね?」
「うん。平日にごめんね」
「……いえ、
…………その日で良いです」
「そう?都合が合うなら良かった。待ち合わせとかはメールで構わないかな」
小田から報告しろと言われてしまったし早く済ませてしまいたかったけど…仕方ない。
……………
電話を切って、手帳を確認すると、約束したその日はクリスマスイブだった。
……さっきの間はそういう事か。
突き放していたくせに、偶然とはいえこんな日にデートをする事になってしまうとは。
…誘えと無理に言われたから、などと言い訳じみた事を考えながらも明らかに浮かれていて、あの子に逢いたいんだと認めざるを得なかった。
…電話じゃなくてメールにすれば良かったかな。
………
それからメールで待ち合わせ等のやりとりをしつつ、あっという間にその日が来た。
待ち合わせの時間より少し早く着いたと思っていたら、既にそこに彼女の姿があって、自然と足早になる。
「ゴメンね、待った?」
「いえ、時間通りですよ」
「………どうかな?」
手を取ってみるとやっぱり冷たい。
鼻も赤いし、結構早く着いてたかな?
「冷えてる」
「えぇっ?!えっと、あの…」
細かい事を気にするのはやめよう。
この子が見てるのは僕じゃなくても、僕が見てるのは君だから。
驚いちゃって可愛いな。
「ああの、ーーさんの手はなんでこんなに暖かいんですか?」
「さあ。こんなもんじゃない?
…今日はずっと繋いでいようか」
「えっ、い、良いんですか?」
「君が嫌なら止めとくけど…」
「いえ!あの、お願い…しま、…す」
最後の方は声が小さくなってほとんど聞こえなかった。
ー俯いちゃって可愛いな。
でも園内に入ってみると思った以上の人混みで、そういう意味でも手は繋いでいた方が良さそうだった。
それに周りはカップルだらけで、手を繋いでる位じゃ目立たないし、場所によっては肩を抱き寄せるしかない程にぎゅうぎゅうになる事もあった。
そうしていくつかアトラクションも乗り、パレードも見て一通り回ったから、休憩をする事にした。
お店はどこも行列が出来ていて、外のベンチで休むことにした。
ホットココアは熱すぎた様でふうふうと息で冷ましている。
子供みたいに一生懸命な様子に思わず笑ってしまう。
「すごい人混みだったね。
お腹は空いてない?」
「…そんなに食い意地は張ってません」
「そう?」
「…っあ。すいません…」
ーあぁ、きっと前にもこんなやりとりをしてたんだな。
「君はそんなに食いしん坊なんだ?」
「もう、違います!」
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