めいこい 続き物

□やっぱりもう一度【5】(完)
1ページ/2ページ


あの後、デパ地下でクリスマスっぽいオードブルやケーキなどを買ってチャーリーさんの今の?家に来た。
レンガ造りで壁は蔦に覆われていて、随分レトロな外観だ。
…ある意味、日比谷公園も家みたいなものかもしれなかったけど。



『元は明治の建物なんだって。
どうりで落ち着く訳だよね』

ーなるほど。

『はい、どーぞ』

『おじゃましま…す。
ーあれ?中は普通だね?』

『ああ、流石にリノベーションされてるからね。
適当に座っててよ』

『はーい』

とりあえず買った物をテーブルに並べてテレビを付けて、ソファでくつろがせて貰う。
こざっぱりとした部屋には、恐らく仕事道具と思われる物や少しの家具があるだけで、いかにも一人暮らしっぽい。

家を出るときは全く予想出来なかったな…。

この時間はもう家に帰ってるはずだった。
今やってるテレビもきっと一人で見て、お風呂に長めに入ってゆっくりしていると思ってた。
部屋を見渡しながら今日の事を思い出してみるといろんな事がありすぎて頭が追いつかない。
けれど記憶が戻ったことは何より嬉しい。

ささやかながらお祝いみたいなことをしてケーキを用意しようとすると、後が良いと言うから先にお風呂を済ませる事にした。
着替えにチャーリーさんの部屋着を出してもらったけどぶかぶかだ。
「彼の家にお泊まり」なんて当然初めてで、これまでだってずっと一緒にいたのに気恥ずかしい。

『……ふふ、似合うかな?』

ちょっと恥ずかしいけど先に上がってたチャーリーさんに見せる。

『良いんじゃない?
……………こっちにおいでよ』

『?』

と、手を引かれて隣に座る。
ケーキを取ろうとすると、肩を引き寄せられて唇が重なる。
部屋着越しとは言っても、お風呂上がりの体温は抱き合うには心地良くて、支えられながらも身体を寄せてしまう。
膝を抱えられてチャーリーさんの膝に座る様な格好になるから、首に手を回して柔らかい髪を指先で弄ぶ。
角度を変えながら何度も重なる唇は、ゆっくりと柔らかく溶け合っていく様で頭がぼうっとする。
見るとチャーリーさんも少し息が上がっている。
初めて見た…と思ったけど、今までは関係なかったのが、もう、そういう訳にはいかないという事かな。

『…ずっとこうしていたいけど、ケーキ食べちゃおうか』

買ってきたのはイチゴの乗ったショートケーキを2つ。
それほどクリスマスっぽくも無いけど、シンプルながら美味しそうなイチゴに惹かれてコレにした。
このまま食べたいというから皿を取ると、手が伸びてイチゴだけ取られてしまう。

「あっ、ずるい」

と思ったら口に入れられた。
半分齧った所で残りは取り上げられて、自分の口に放り込んだみたい。

クリームが付いてて甘いなと思っていたら顎を掴まれた。
そのまま口を塞がれて、口移しに咀嚼したイチゴを渡される。

こっちも甘い…けど、
もう少し落ち着いて食べたい。
でもいつの間にかもう一つのイチゴも手にしてしまっていた。

『あっ、せめてそっちは普通に食べたい!』

『えー?仕方ないなあ。じゃあ、はい』

『ん?』

『それってさっきと同じじゃ…』

『違うよ?ほら、』

『ちょっ……と、っん、』

頭に手を回され、一つのイチゴを挟む様に食べているのかキスをしているのか…。
味わおうとしても口内で追い掛けられる舌に掻き出されてしまう様で、どうしても口の端から溢れてしまう。
肌をなぞって下着まで雫が垂れるのが冷たくてあまり気持ち良い物ではなかった。

『やっぱり一緒に食べるとおいしいね♪』

一緒の意味が色々と違うよ。


とにかくべたべたして気持ち悪い。
せっかくお風呂上がりなのに、服にも付いてしまったかも。

「ちょっと拭いて来……っ?!っん…ちょ…っ」

立ち上がろとすると抱きかかえる様にソファに押し倒されて首元に吸い付かれた。
ぬるぬると丁寧に舐められて思わず吐息が漏れる。
そのまま顔まで上がっていき、またキスをする。
気づくと腰を支えていた手はシャツの隙間から侵入していて、肌を滑る。
擽ったさに無言で抗議するけど、いたずらっぽく目を細めるだけで止めるつもりはない様だ。

まあ……、ここで止められたら私も困るけど。


………………………………
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ