めいこい 中編
□君に逢いに/補完妄想
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あの日から毎月、満月の晩には気付いたら此処へ来てしまっている。
もう何も無いと分かっているのに、
もしかしたらと心の何処かで期待しているんだ…。
「あっ、おい!何処へ…」
突然、ウサギが駆けて行った先には、ウサギよりふた周り程も小さい子狐の物の怪がいた。
初めて見る物の怪のはずだが、仲が良さそうだ。
「………あれは!」
いや、まさか。
まだ1年しか経っていない。
だけど、あの付喪神の面影がある。
しかも近付いても全く警戒しないな…。
「……あんたは、覚えてないのか?」
…って、流石に無理か。
首傾げてるしなぁ。
以前は人型である上に、随分と力を持っている様だった。
今の様子じゃあウサギと同じかそれより下位か…。
あれ程の物の怪になるにはどれ位の時間が必要なんだろう?
ただ、1年でこれなら、こいつにはそれ程時間は必要無いのかもしれないな。
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