めいこい 中編

□寝ぼけてお風呂に入っちゃダメ/甘
1ページ/3ページ

眠いと思ったら、もうこんな時間かぁ。
今日の勉強はここまで進めたらお風呂にゆっくり浸かろう。
それにしても眠い…。





………………………………………………………

芽衣ちゃんは学校の試験が近いとかで、最近はずっと勉強しているのを邪魔しない様にしてる。
おしゃべりする時間は殆どないけど、一人暮らしだし、忙しくなってくると特に食生活とかが心配だから目を離せない。



…あと、こういう時に起こしてって言われてるしね。

「芽衣ちゃーん、起きなよ。
今日の目標まであと少しだよー」

「ん…」

結構揺すってみたけど、全く起きそうに無い。
勉強はあと少しみたいだから明日でも大丈夫そうだけど、お風呂がね。
起こさなくて何度か怒られてるからなぁ。
今後の信用問題にも関わるし、今日は何としてもお風呂には入って貰わないと。

「芽衣ちゃん、起ーきーてー」

「…んぅ?」

やっと気付いた、あぁ、でもこれは危ないなぁ。すぐ寝た方が良さそうだけど…。

「お風呂、入るんじゃないの?
明日の朝にするの?」

「………。
あ!そうだお風呂入らなきゃ!」

眠気を振り切る様に勢いを付けて立ち上がり、フラフラとバスルームへ向かう。
あーあー、寝ぼけてるんじゃないのかな…。
危なっかしいなぁ。

「1人で大丈夫?背中流す?」
なんちゃって。

「大丈夫、どうせ変な事考えてるんでしょ!」

寝ぼけながら睨まれた、純粋に心の底から心配してるのに。
……でもその冷たい目が堪らないなぁー!

って喜んでる場合じゃない。
寝ぼけてのお風呂は本当に大丈夫かなぁ。

洗面台に軽く腰掛けて様子を伺う事にした。
…女の子のお風呂の様子を伺うなんて、普通に変態みたいで抵抗あるけど仕方ないんだ、うん。

たまにシャワーの音だけが続いて、思い出した様に身体を洗う音が聞こえてくる。
…やっぱりたまに寝てるなぁ。

なんとも安定しない様子に内心本気でハラハラしていると、シャワーの音だけが響き続ける。

これは寝ちゃったなぁ。

「芽衣ちゃん、起きてる?」
バスルームの薄い扉を叩いてみても返事が無い。

仕方無いから覗いてみると泡だらけの状態で、辛うじて壁にもたれてはいるものの、今にも椅子から落ちそうになってる。

あ…危ない所だった!

「芽衣ちゃん、起きて!風邪引くよ?」

後ろから肩を抱いて呼びかけるけどグラグラしてる。
シャワーは止めたけど、取り敢えず泡まみれなのはなんとかした方が良さそうだなぁ。
でもどうしようか?

「ん…、あ、寝ちゃってた………?」

「大丈夫?取り敢えず流しちゃってもう寝た方が良いよ」

「うん、そうする…」

とは言ってるけど、まだ身体がフラフラしてる。
寝ぼけてるなぁとハラハラしていたら、頭に冷たい感触。

「きゃっ…」

「芽衣ちゃん、それ水!」

慌てて止めるけど芽衣ちゃんはモロに浴びていた。

「えっ、チャーリーさん?!」

「お風呂で寝てるんじゃないかと心配していたら、案の定君は寝てしまってたんだよ。
もう良いから湯船に浸かりなよ」

「う、うん。そうする…ありがとう。
チャーリーさんは平気なの?」

「うん。僕は平気だよ」

驚いたけど、これでやっとちゃんと目が覚めたみたい。
あーあ、震えちゃって…唇も青くなってる。
もう、心配だなぁ。

「頭だけ出して」

洗ってる途中だった様子の髪に泡立てたシャンプーを改めてのせて洗っていく。

「気持ち良い〜♪」

浴槽の縁に両手でつかまって、目を瞑って頭だけ出してると子供みたいで思わず笑いが漏れる。

「どうしたの?」

「お風呂で寝たりするなんてまだまだ子供だなぁと思って」

「そんなことないもん」

「いーや、子供だね」

「痛っ、チャーリーさん、力入れすぎ!」

また寝ない様に強目に頭をマッサージしておこう。心配する方の身にもなって欲しいもんだよ、まったく。
今もウトウトしてたのを気付かないとでも思ってるのかな。

「この位なら大丈夫だって。ほら、目が覚めただろう?」

「うぅ」
口を尖らせてふてくされてる様子にまた笑いが我慢出来ない。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ