めいこい 中編

□小指の約束 /ほのぼの
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「チャーリーさん」

「ん、何?」

「小指出して」

「??」

「はい。指切りげんまん」

「……んん?何の指切りなの?」

「チャーリーさんとずっと一緒にいられるおまじない」

「………なんで?」

「だってチャーリーさんの事が大好きだもん♪」

「ありがとう。

僕も芽衣ちゃんが大好きだよ」

「じゃあずっとずーっと一緒だからね。
私が初めて好きになったのはチャーリーさんなんだから」

「ふふ、僕もだよ。ずっと一緒だね」

と、答えると屈託無く笑う。
初めての恋をして無邪気にはしゃいでいる小さい恋人は本当に可愛い。
と言ってもまだ子供だからおままごとみたいな物だ。
「好きな人」って言ってみたいオトシゴロなんだろう。
僕はそのおままごとに付き合ってあげてるだけ。

それでも「ずっと」と言ってくれる事は嬉しい。

そのうち君は僕なんかの事は忘れて、ちゃんと本当に好きな人が出来て、その人と幸せになる。
もちろん今日の事も忘れてさ。

自分にそう言い聞かせるけど、指切りをした小さい指の感触は忘れたく無いし、忘れられそうにない。







……………………………………………………


あ……いつの間にか寝てしまっていた。
もうすっかり暗くなっている。

チャーリーさんは……?

眠い目をこすると手になにか引っかかった。




「…なにこれ」

赤い縫い糸?が、小指にかけられている。
糸の先にはもちろんチャーリーさんがいて、
起きた私に気付くとニッコリと笑う。

……ちょっとー。
昨日は全然分からないって言ってたくせに…。


「こういう感じ?」

こちらの反応を待っているのが分かる。
でもなんだかすごく照れくさい。

「………

手、貸して」

仕方ないから私も譲ってあげる。

小指を絡めて上から更に糸を巻いていく。

「……随分強力だね」

「糸だけの運命じゃすぐに切れそうって言ってたじゃ無い。
今日はずっと取らないから」

「そうは言っても…」

「分かってる」

ーーどんなにきつく巻いても夜が明けてしまえばチャーリーさんは消えてしまう。
それを繋ぎ止める事は出来ないんだ。

「…でもさ、運命って言っちゃうと、芽衣ちゃんが僕で良いって言ってくれたのではなくて、
運命に流されただけみたいじゃない?」

「…………どっちでも良いよ。
最終的にチャーリーさんと一緒にいられるなら、本当はそれだけでいいの。

ただ、赤い糸があるなら、これからなにがあっても一緒にいられんだって安心出来るでしょ?」

ずっとずっと、一緒にいたいなぁ。

彼の硬い胸に顔を埋めて背中に手を回すと、軽いため息と共に抱き締められるのが分かる。

「大丈夫だって。どこにも行かないから。
僕はずっと芽衣ちゃんだけを見てるから。
というより、ずっと見てる、が正しいのかな?
僕は一目惚れみたいな物だし」

「一目惚れって…それ赤ちゃんの時の話でしょ!」

「でも本当に可愛かったんだよ?
それがこんなに可愛いまま大きくなるなんてさ」

良い加減聞き慣れてきたとはいえ、こんなに何度も言われると反応に困ってしまう。
そうね、なんて流せない。

「…………大きくって…、また子供扱いする」

「そんなことは無いさ!
僕がどれだけ君の事を思っているか…
…………ぐはっ

な……なかなか…良い、正拳突きだね…
そんな所も可愛……っ、ぶっ!

ゔぅ…手をどけて…芽衣ちゃんが見えない…なぁ…」

「もう良いの!!
そんなに言わなくても分かってるから!」

「本当に?」

…恥ずかしい。
赤い糸なんて演出をしてくれたせいか、いつもよりもなんだか愛しい気持ちになる。
でも本人に言ったら調子に乗るから気づかれたくない。
……んだけどな。

ふふ、と笑う声がして抱き締められる。

今一緒にいられるのが奇跡みたいな事なんだから、それで良いか。


※終わり※
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