めいこい 中編

□おはよう。行ってらっしゃい。/ベタ甘
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「芽衣ちゃん、時間だよ、起きて」


学校の研修で早起きしなくちゃいけないから起こして欲しいと頼まれていた。
それにしても夜明け前に起きなきゃいけないなんて早すぎない?
とっても気持ち良さそうに寝ているから、このまま寝かせておいてあげたいな。
でもそういう訳にもいかないし…。



「芽衣ちゃん、朝だよ、遅刻しちゃうよ?

 早く起きてくれなくちゃ……………僕が消える前に」




このまま夜が明けてしまったら、さよならのキスをしてあげられないよ?
前にこんな風に夜明け前の時間が過ぎてしまった時は、涙を滲ませて抗議されたからなあ。

枕元に肘をつき、改めて間近で寝顔を見ながら頬をつついてみても起きる気配がない。
…と思ったら子供みたいに手をぎゅうっと握られた。
そのまま芽衣ちゃんの手と一緒に布団をパタパタと叩いているとやっと目が少し開いた。


「朝になるよ?」

「…………?」


あっ、また目が閉じちゃいそうだ。


「芽衣ちゃん、起きて」


しっかりと握られた左手をまた振ってみるとそれに気付いた様で手を引き寄せられる。


「あ……、
……チャーリーさんの手だぁ………」


寝言みたいに呟くと、へにゃっと溶けてしまいそうな笑顔で手のひらに頬ずりをされた





………寝ぼけているからって反則じゃない?





寝起きのせいなのか更に無防備な笑顔は、ある意味エターナルフローズンの何倍も強力だ。
でもやられっぱなしじゃ無いよ?

頬に添えられた手はそのままに、反対側の頬に唇を押し当てて、覗き込む。


「起きた?」

「…やだあ〜っ」


くすくすと笑う様子があんまり可愛いから、つられてこちらの顔もほこんでしまう。
夜にまた逢えるとは言っても、もうすぐ夜明けと共に消えてしまうこの身が本当に恨めしい。


「……んーっ」

「?」


おでこを付けて見つめていると、小さく尖らせた唇が鼻先に軽く触れたのを感じた。
少し驚いてしまった僕を見てまた楽しそうに笑う。

寝起きで寝ぼけてると本当に無邪気だね。
普段なら絶対にこんな事しないでしょ。
夜が明けてしまえば僕が反撃出来ない事を分かってるから、こういう意地悪をするのかな?



【1】それなら反撃は今日の夜にとっておく事にして、…

【2】でもまだもう少し時間はあるよ?…
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