めいこい 短編

□私を見て
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チャーリーさんはいつも気づいたらいなくなってしまっている。
私の話はあんなに優しい笑顔で聞いてくれるくせに、自分の事は何も話してくれない。
それでも聞こうとすると、一呼吸おいて「僕の事は良いじゃない」って言う。
そりゃあ自分は良いだろうけど、私はチャーリーさんの事をもっと知りたい。
現代から一緒に来た奇術師、という事実以外の事を何も教えてくれない。

だいたい日比谷公園にいて、住所不定って自分で言っているし、でも蔵が立つほどチップは貰えるとか、貧乏マジシャンとか矛盾する事ばかり言ってはぐらかす。
昼間は買い物をしたりしていると言うけど、それだって怪しいものだ。

ねえ、チャーリーさんは今、何してる?
何を考えてるの?
私に明治を楽しめと言うけど、誰か大切な人を見つけられると良いと言うけど、チャーリーさんにとって私はそれだけなの?
私の大切な人の候補にチャーリーさんは入れてはいけないの?

…………………………

笑顔を向けてくれていても本心は見せてくれないから、せめてその瞳に私が映る距離にいたい。

かさねた手のひらを握るといつもの笑顔で、どうしたの?って聞かれる。
別にどうもしないから、と曖昧に笑うと、チャーリーさんの笑顔が一瞬、寂しそうな色になる。
でもまたすぐにいつもの軽い調子に戻ってしまった。

どうしたらその笑顔に私を映してくれるの?
どうしたら振り向いてくれる?


※終わり※
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チャリ芽衣への3つの恋のお題:どうしたら振り向いてくれる?/今、何してる?/重ねた手のひら

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