めいこい 短編

□幸せになるんだよ
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僕の主は本当に大事にしてくれる。
小さい子供の頃から大きくなってもそれは変わらなくて、付喪神の仲間に羨ましがられた。
少しは優越感なんて物もあったけど、それ以上に芽衣ちゃんの事が大事でなんでもしてあげたいと思う様になった。
自分を大事にしてくれる人が大切だ、って当たり前の事だしね。
でもいつの間にかこれまでのやり方では君に笑顔が戻らなくなって来ていた。
だから、初めて姿を現して君を明治に連れてきた。
ここなら魂依である事を、自分の事を否定しなくて済むから。
ここでなら幸せになれると思ったんだ。
そして誰か大切な人を見つけて、その手に導かれて幸せになって欲しかった。


そして君は今、はっきりと「大切な人が出来た」と言ってくれた。
自分の気持ちに正直な、決意を宿した真っ直ぐな瞳で。
…僕が見たかったのはその目だ。
もう僕の手助けは必要無いね。

でもこの時代にいる限りは、何があっても僕は君の事を助けてあげられる。
これからは君の前に姿を現す事が出来なくなるけど、これが僕なりの愛情の証しだから。

「いままでありがとう。
幸せになるんだよ、お嬢さん」



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チャリ芽衣へのお題:愛情のあかし/「ありがとう。」/その手にみちびかれて

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