めいこい 短編

□百万回生きた猫パロディ
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いつから生きているのか分かりません。
ある時は戦争中で多くの人が亡くなり、離れ離れになった人達を結びつけました。
ある時は大きな災害が起こり、愛する人達の安全を一緒に願いました。
いろんな人達を結びつけました。
ある時から、お願いをされなくなってのんびりしていました。
そして、お願いはされないけど、自分がお願いをしている事に気が付きました。

あの子がいつも笑顔でいられます様に。
今日も元気なただいまが聞けます様に。
寒い日も風邪をひいたりしません様に。
あの子が誰よりも幸せになります様に。
あの子がもっと…。

その子の幸せが何よりも嬉しくてくすぐったくて、これが幸せなのだなと思いました。

そうして幸せを願い続けて、最期の笑顔を見送りました。
もうあの子の笑顔が見られないんだと思ったら涙が溢れてきました。
目の奥が痛くて堪らないから早く止まって欲しいのに、いつまでもいつまでも止まりませんでした。

なんで泣いてるのか分からなくなる頃にようやく涙が止まって、
目の奥が痛くなくなりました。

そしてぎゅっと目を閉じると、
二度と目を覚ます事はありませんでした。


※終わり※

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