EXOのBOOK

□僕はただ涙がこぼれないように上を向く
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luhanは涙がこぼれないように上を向いて溜息をつきいた。




『僕はただ涙がこぼれないように上を向く』
luhan side



zitaoは純粋すぎだ・・・


その純粋さも、無邪気さも、微笑みも、
美しい横顔も、自分より大きな、包み込んでくれるような体も・・・

いつからだろう。

きっともうずっと前から僕は彼に惹かれていた。

彼がふざけてジャレてくるとき。。
彼が何気なく肩を組んでくるとき。
寂しくなったり悲しくなって
僕の胸に顔をうずめるとき。

僕の鼓動がどれだけ速くなっているか
どれだけせつない気持ちになっているか

彼は気づくことはないんだろうか。


krisと彼の仲の間に到底入る隙などないと諦めていたけど
ある日突然クリスは僕たちの前から去った。

taoは泣いた。
krisはtaoの憧れだった。
彼がkrisに憧れ以上の感情を持っていることは
誰が見てもわかった。

僕が慰めてあげることができた。

僕が彼の心を癒すことができた。

このせつない気持ちを伝えることもできたかもしれない。



でもtaoの心の穴を埋めたのは



sehunだった。



sehunもずっと前からtaoのことを特別に思ってきた。
もうデビュー前からだ。
僕とsehun2人でいるとき、
sehunはいつもtaoの話しをする。

taoを褒めたり、貶したり、尊敬したり、バカにしたり。
sehunがtaoのことを話すとき、
それはそれは楽しそうに話し、
夢見心地の瞳になる。
taoとケンカをして僕に愚痴るときもあるけど、
結局、ふくれっ面しながらも
はにかんだ微笑みを僕に向けて
taoを許してやるんだと、嬉しそうに言う。

sehunが語るzitaoを
僕はどんな顔をして聞けばいいんだ。

僕の知らないtaoをsehunは知っている。
そう考えるだけで胸がつぶされるように痛くなった。
僕はsehunから遠ざかりたいと思うようになった。


krisが去ってしまった後、
taoはメンバー全員に癒しを求めた。

でも誰よりも信頼関係を作っていたのは
sehunだった。

僕も彼の心を癒せたかもしれない。

でも目に見えないものでtaoとsehunは繋がれていた。
僕は自ら後ずさりした。


あの日

krisがEXOを去りtaoがその件でネット上にコメントを出し、
ファンの憶測でtaoは責められた。

雨が降っていた。
メンバー達が集まるリビングでtaoはノートパソコンを叩きつけるように閉じると
慰めようとするメンバーの手をすりぬけて
寮を飛び出した。

外は大雨だった。

メンバーはみんな目を交し合い、うつむいた。
その時真っ先にtaoを追いかけていったのはsehunだった。

僕は傘を持って後を追いかけた。

taoは雨の中で俯き、泣きながら中国語で見えない何かに向かって叫んでいた。
sehunはtaoの両肩を揺さぶりながら何度もtaoの名前を呼んだ。

僕はそれを遠巻きに見ているしかなかった。

雨で煙っている中でsehunの顔がtaoの顔に近づくのが見えた。
そしてtaoの叫びが止まった。

雨の音だけが聞こえた。
どれだけ時間が長く感じたろう。
僕は金縛りのように動けなかった。
息でさえ、止まっていた。

ようやく2人の顔が離れて
2人は崩れるように地面にしゃがみこんだ。
sehunは再び泣き出したtaoを抱きしめた。

僕は

僕は

2人に背を向けた。
そして一人で寮に戻った。



それからというもの

僕はジャレてくるtaoにどう接したらいいかわからなくなった。

僕がどんなにそっけないそぶりをしても
僕の気持ちをまるで知らないかのように
猫のようにジャレてくる。

いっそのこと、僕を嫌ってくれればいいのに。

僕はどうすればいい?



涙がこぼれないように上を向くだけ。


END

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