EXOのBOOK

□confession
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confession chantao


Taoがメンバーの中で恐れているのはYifanとChanyeolだった。
恐れもあるが憧れている存在でもあった。

Yifanはスタイルも顔も完璧だ。
Chanyeolはかっこいいうえにラップや楽器が弾けて
多才だ。

2人は自然とデビューからTaoの厳しい世話役になっていた。
わがままで暴走しやすいTaoを制御したり叱ったりする。
Yifanは優しいときもあったが
Chanyeolは常に厳しくて、Taoは未だにChanyeolにびくびくしている。

Yifanがメンバーから去ってしまってから
Taoの世話役はChanyeolだけになった。

Chanyeolは自分だけがTaoを叱ることができるようになったのが
内心ほっとした。

それが何故なのか、なんとなく自分でわかっている。

YifanとTaoは先輩後輩以上の仲だった。
国も一緒だったこともあって、言葉ではTaoにとって
いろいろ話しやすかっただろう。
同じ世話役をやっていても、Yifanには心を開いていたTaoだが
Chanyeolには心を開くことはなかった。

Chanyeolはそれが気に食わなかった。
同じように叱っても俺はただの嫌われ役だ。
そう思うとChanyeolは倍にTaoに厳しくあたってしまった。

Taoにもっと自分を気にしてほしい。
なぜYifanのことばかり見るんだ。
俺だってお前の事・・・

やきもちなんだと分かった。

Yifanはもういない。
Taoは自分のもの?
いや、だからといってTaoが自分のものになるわけでもない。

結局、Yifanがいなくなったところで
TaoはChaneyolに心を開くわけではなかった。

ただ、唯一嬉しいのは
今までTaoが自分に向ける笑顔が引きつっていたのが
自然に楽しそうに笑いかけてくれるようになったことだ。

TVの撮影でカメラが向いたときに
自分と一緒にリアクションするTaoの笑顔を見たとき
Chanyeolはとても嬉しくなった。

Taoを抱きしめたいくらい。



ある日歌番組の撮影が終わった後、
ChanyeolはイライラがMAXだった。
控室に向かう途中でChanyeolはTaoの腕をつかむと
人目のつかない廊下の薄暗い一角に連れていった。
Taoを壁に押し付けると、Chanyeolは説教を始めた。

「なあ、なんでヒョン達の前に立つの?
 何度言ったらわかる?
 おまえ背が高いんだから、後ろに立てって言ってるだろ?」

TaoはChanyeolの勢いに首をすくめて目をつぶった。

「それから、なんでいつもおまえがトロフィー持つの?
 junmyeonヒョンが持ってなきゃいけないところだろ?」

ChanyeolはTaoの胸元をつつきながら言った。

TaoはChanyeolをチラッと見るとすぐ俯いた。

「だって・・・」

謝らず否定の言葉を出したTaoに、Chanyeolは
またか・・・という呆れた表情になった。

「だってじゃないだろ!」

Chanyeolはそう叫びながら、この場面と全く同じことが
以前にも数回あったことを思っていた。

その時はYifanが同じ言葉で怒っていた。
やっぱりTaoは「だって・・・」といった。
Yifanは黙ってTaoを見つめた。
でもその後、TaoはYifanに抱き付いてごめんなさいと言った。

そうか、俺は誤らせる隙を作ってやってないのか・・・

俯いたTaoの態度にイライラと悔しさと愛情が絡まる。

「こっち向けって!」

Chanyeolは無理やりTaoの顎を持ち上げた。
Taoの怯えた目がChanyeolの目を見つめる。

一瞬の出来事だった。
自分が何をしているのか・・・
唇に感じる暖かいもの。
ChanyeolはとっさにTaoにキスした。
Taoの両腕をつかみ壁に押し付けると
顔を傾けもう一度唇を重ねる。

Taoの腕が震えているのがわかった。
その瞬間押し返された。

Taoは手の甲で口を覆いながら
片手でChanyeolの胸ををこぶしで思いっきり叩いた。
その痛みは心まで響いた。
Taoの非難するような目つきは
ますますChanyeolを悲しくさせた。

ChanyeolはTaoに体を押し付け壁に両肘を打ち付けた。
Taoがまた自分をを突き放そうと手に力を入れているのがわかる。
Taoの首元に顔をうずめながら言った。

「なあ、

 俺の事、嫌いなの?」

Chanyeolのいつもと違う口調にTaoは手の力を抜いた。

「なあ、

 嫌い?」

Chanyeolの唇がTaoの首筋に触れる。
TaoはChanyeolの体温を感じた。

沈黙のあと、
TaoはそっとChanyeolの背中に手を回した。

「嫌いじゃないよ。」

ChanyeolはTaoから体を離すとTaoの両肩を掴んで見つめた。

「じゃあ、好き?」

「…えっ」

TaoはChanyeolにまっすぐに見つめられて
真っ赤になった。

予想以上の反応にChanyeolは我に返って恥ずかしくなった。

「な、何真っ赤になってんだよ。」

照れ隠しにそう言ったがChnayeolも真っ赤になった。

「い、今のなし!ほ、ほら、もう行くぞ!」

ChanyeolはTaoの腕を掴んで歩き出した。
Taoは呆気にとられて後についていった。

いつもChanyeolのペースに飲み込まれるなーとTaoは苦笑いした。
でもいままであったChanyeolとの間の壁のようなものが
なくなって、歩み寄れた気がした。

TaoはChanyeolにつかまれた腕をほどいて
Chanyeolの手を握った。

Chanyeolはビックリしたように振り向いた。
Taoは恥ずかしそうにニコリと笑った。

Chanyeolは満足そうに微笑んだ。
Taoが自分に微笑んでくれることは
本当に嬉しいことだと実感した。

Chanyeolは手を引き寄せてTaoの手の甲に
キスをした。

でもまだTaoは今日のこと反省してないな。
謝ってない。
Chanyeolはつぶやいた。

「俺はYifanのように甘くはないぞ。」

END

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