EXOのBOOK

□かまってほしい?
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【かまってほしい?】


Baekhyun Side


(今日もMCでTaoはしゃべりすぎる。)

BaekhyunはイライラしてTaoの耳元で

「長いよ、はやくしろ!」と言った。

Taoはしゃべり終えるとBaekhyunを思い切り押した。
加減のない力で押されてBaekhyuはムッとした。

お返しに二の腕2発握りこぶしで叩いてやった。

Taoはやり返そうとしたけど、呆れた顔をしてそっぽを向いた。

その後も肩で何気なく押し合ったりした。


(また、嫌がられるんだろうな。)


BaekhyunはわかっていながらTaoにちょっかいを出す。
いつもそれを見ているChanyeolに、ある日言われた。

『BaekhyunはTaoにかまってほしいからそういう事するんだろ。
ガキだな、ガキ。』

『はぁ?違うよ。あいつ見てるとイライラするんだよ。』


かまってほしい? 

俺が? 

Taoに?

ふざけんな。


---------------


あー、今日はこいつと居残り練習か・・・
ちょっとふざけすぎたな・・・はぁ。

ステージ用のダンスレッスン中に
Taoにちょっかい出しすぎた。
今日のTaoは特に機嫌が悪いのか俺に反発してきた。

ちょっとケンカっぽくなって
インストラクターに怒られたし・・・

んで、Taoと俺だけ居残り練習だよ。


ついてない・・・


Taoはもくもくと真面目に一人でミラーに向かって練習している。

俺は・・・やるきしねー。

壁に寄りかかってあぐらかいてドリンク飲みながら
Taoのダンス鑑賞。

鏡ごしにうつる俺には目もくれず。
ひたすらダンスの練習してる。


・・・・


ああ・・・


男でも、惚れそうだよな・・・


変な色気あるんだよな。こいつ。

でさ、体型も完璧なわけじゃん。


・・・・


・・・・


ちくしょー、なんで一度もこっち見ないんだよ。
俺の視線、全然気になんないのかよ。

俺は手ぶりでTaoのダンスを真似するふりをしてお茶らけてやった。
やっとTaoが鏡越しに俺を見た。

思いっきりバカにした顔をしてやった。

Taoは唇をかんで睨み返してきた。

でもすぐに目をそらすと、また練習を始めた。


なんかほんとにムカつく。


ドリンクをいっきに飲み干して、
空になったペットボトルをTaoめがけて投げつけた。

ペットボトルはTaoの背中にあたって落ちた。


空気が張り詰めた感じがした。


Taoがダンスをピタリと止めて
こっちに向かってきた。

俺は近づいてくるTaoの足だけを見ていた。

ふいに力強く胸元を掴み上げられた。

いやでも上を向かされそうな勢いで。

「ヒョン。なんで練習しないの?

 なんで邪魔すんの?」

掴まれた胸元の力でTaoのイライラが伝わってくる。



”Taoにかまってほしいからそういうことするんだろ?”



Chanyeolの言葉が頭の中で響いた。

俺は目線を落としたままなんか笑ってしまった。

プっ・・・

その笑いはきっとTaoをもっと怒らせる。

「ひょん、バカにするのもいい加減にしてよ。」

今度は強く壁に押し付けられた。
すごい力だ。本気でイラついてんだろうな。


痛てぇ・・・・


これは本能的な行動だろう。
俺はTaoに掴みかかっていた。

服を引きちぎられそうなくらいお互いもみ合って
髪を掴み合って二人の息遣いと唸りあう声がレッスン室に響いた。

気が付いたときは俺が仰向けになったTaoの上に馬乗りになって
Taoの頭を床に強く押し付けていた。

Taoはうなりながら横目で俺を見る。

荒い息づかいを抑えながら言った。

「おまえ・・・誰に向かって・・・そういう事してん・・・だよ」

一瞬Taoの体の力が抜けたように思った。

Taoが荒い息をするたびに
Taoの破けてしまったTシャツから見える胸が上下した。

こんなときに、Taoが厭らしくというか・・・
色っぽくというか・・・

そう見える俺って変だ・・・


油断した。


Taoは俺が力を緩めたとたん、また俺の胸元を掴んできた。

俺はまた思いっきりTaoの頭を床に押し付けて
破けたシャツから露わになったTaoの肩に
思いっきり噛みついた。

Taoは痛みで半泣きの声を出した。
ゆっくり噛んだ口をゆるめた。
うっすらと鉄の味がする。

「痛い・・・ひょん・・・」

顔をあげてみると、Taoの肩にはくっきりと俺の歯形が付いていた。

Taoは降参して力を抜いた。目には涙がにじんでいた。

ちょっとやりすぎたかな・・・
Taoを見下ろすと、Taoも潤んだ目で俺を見上げた。

「ひょん・・・ひどいよ・・・」

「おまえが、こうさせたんだろ。」

見上げるTaoの目に、なぜかこの心臓、反応する。
なんだよこれ・・・

とにかくその眼に耐えられなくなって
俺は「ごめん・・・」と言った。

Taoについた俺の歯形は、確かに痛そうだった。


「ごめん。」


もう一回言って俺はその歯形に顔を寄せると、
僅かににじんだ血を舐めた。


Taoの体がビクッとなった。


その反応が面白くて、もう一回舐めた。

やっぱりTaoの体がビクっとなった。

そのまま顔を横にしてTaoの首筋に頬をかすめて
髪を引っ張ってTaoの顔を正面に向かして
目をみないまま唇でTaoの唇を探す。


Taoの唇だ。


唇が柔らかくて暖かいものに触れる。
あたる鼻をよけるように顔を傾けて

そっと唇を押し付ける。



多分、こういうことをしたら
Taoは怒るだろうってずっと思ってた。

抵抗すると思ってた。

でもTaoは抵抗しなかった。

ゆっくりと顔を上げる。

Taoと目が合う。


やばい・・・


なんだよ、その顔は・・・

厭らしい顔。



「・・・いやじゃないの?」



思わず聞いてしまった。
それがTaoを正気に戻してしまった。

Taoは俺を押して起き上がると
自分のタオルとドリンクを素早くつかんで足早に
レッスン室を出て行った。

俺はそのままなぜか笑ってしまった。
予想外のTaoの反応と
それにドキドキしてしまった自分がおかしく思えた。

頭の中はあのキスの後の想像が占領する。

どうかしてるのかも。俺。

Chanyeolの言葉をまた思い出す。


”かまってほしいからそういうことするんだろ?”


心の中で答えてみた。

(うん。そうなのかも。)

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