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□12月企画
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★大地さん★







「大地さん!」

放課後、誰もいない教室で待っていたのは大地さんだった。

帰ろうとしたら下駄箱に大地さんから『3年4組で待ってる』という手紙があり、急いで戻ってきたのだ。

「どうしたんですか、急に…」

「いや、悪い。今日で学校終わりだったからちゃんと話しておきたいことがあって」

「はあ…」

一つ年下で女子バレーボール部の私は、お姉さんのように慕っている道宮さんにくっついていたらこの人と出会った。

道宮さんは一目置いているが私は食えないやつだと思っている。

気を許してはだめだ。

どうどうと私を見つめ続ける大地さんに、私は睨まれていると思ってガンを飛ばす。

「…そんな怖い顔しないでよ…別に取って食うわけじゃないからさ」

「てかなんの御用ですか?あ、道宮さんのことですか?」

「いや、今日はななのちゃんに用事があるんだ」

「き、気安く下の名前で呼ばないで下さいよ!」

「あ、ごめん…道宮がずっと下の名前で呼んでるからつい」

「まあいいですけど」

「ありがとう」

なんだかペースが掴めない。

キツネに抓まれた気分だ。

「でなんだけど」

話を切り出す大地さん。

「今日は何の日かわかってるよね?」

「え、クリスマスイヴですよね」

「そうだね。今日は予定あるの?」

「予定は特にありません。恋人がいるわけでもないですから」

何を聞いてくるんだこいつは。

「じゃあさ、この後どっか食べにいかない?」

「え、大地さんとですか?」

「そう」

「…結構です」

「やっぱりか〜」

やっぱりってなんだよ。

「大地さんなんでそんなこと聞くんですか?」

「なんでって」

壁際で立っていた大地さんが急に近付いてきた。

反射で下がるが机に当たってしまいそこで動けなくなってしまった。

なんだか大地さんが怖く見えた。

「なななななんですか大地さん」

「素直に言った方がいいのかな?」

「なななななにをですか」

「俺、ななのちゃんのこと好きなんだけど」



え?



すでに言葉にならなかった。

「俺、もう卒業だけど、去年からずっと気にしてたんだ」

急に語り出す。

この状況を全く理解できない。

大地さんが近い。

今までになく近い。

そして男だと思わせられるくらい存在が大きく感じられる。

ずっと何かを言っているが入ってこない。

「聞いてる?」

その言葉で自分の世界から帰ってこれた。

「あ、はい、えっと、え?」

「ななのちゃんと俺のことどう思ってる?」

「苦手な先輩」

思っていることをそのまま言ってしまった。

「…それはちょっときついな…」

「あ、いや、それは、えっと、嫌いな先輩なんですけど、なんですかね?この気持ち…」

胸がドクドク大きく聞こえる。

「心臓が大きく聞こえるんです…」

なんだか泣きそうになってきた。

「ごめん!そんな責めるつもりじゃなかったんだけど」

「大地さんの事、毛嫌いしてたのに、なんでこんな頭真っ白でドキドキして大地さんのことしか考えられないんですか」

言い終える前に大地さんに抱きしめられた。

「それってもう俺の事好きなんだよ」

「なんで、大地さんなんかを…」

そう言いながら大地さんの背中に腕をまわしている。

クリスマスイヴに人を好きになるという気持ちをもらいました。




おわり
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