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□対になる5のお題
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★優しさと冷たさ 西谷



いつも一緒に帰ろうとのやっさんが誘ってくれるので、今日は私から誘ってみようと思った。

昼休みにのやっさんの教室に行って直接誘ったほうが喜んでくれると思い、勇気を出して向かっている。

先輩ばかりのクラスの階は、いつ来ても緊張する。

視線をとても感じる。

やっぱり見られてるよね?

友達についてきてもらったのはいいものの、やっぱり怖い。

目当てののやっさんのクラスの教室につき、ドアからのやっさんを探す。

「誰か探してるの?」

近くに座っていた女の先輩が声をかけてくれた。

「あ、あの、西谷さん、いますか…?」

恐る恐る聞いてみた。

「ああ、西谷?ちょっと待ってて」

見た目とは違いとても優しく接してくれる先輩だった。

ほっとして、先輩がのやっさんに声をかけてくれるところを目で追うと、のやっさんと目が合い近寄ってきてくれた。

「ななの、なんだよ」

いつもと違い怒ってる口調ののやっさん。

「あ、あの、今日一緒に帰りません」

「あー帰る帰る。また校門で待ってて」

あしらうようにそう言って自分の机に戻っていくのやっさん。

(え…?どうしてあんなに不機嫌なんだろう…)

のやっさんの態度に凄く不安になってきた。

席に戻っていくのやっさんの背中がどんどん遠くなる気がした。

いつもなら、優しく笑顔で答えてくれるのやっさん。

教室に来ても教室を去るまで見送ってくれるのやっさん。

あんな怒った態度でしかも先に席に帰ってしまうのは初めてだ。

「ななの、大丈夫?」

ついてきてくれた友達が心配してくれた。

「え、大丈夫だよ…」

「ちょ、泣いてるじゃん!」

「え…?」

頬を涙が伝う感覚がした。

手で拭うと濡れている。

「え、なんで泣いちゃったんだろ…」

のやっさんに見えないように咄嗟に違う方向を向き、歩き始める。

「ちょ!待ってよ!」

友達が後ろからついてくる。

「ほんとに大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

大丈夫、ではない。

何かのやっさんが嫌がることをしたかな、と頭の中で今までの自分の行動を振り返る。

でも、心当たりが本当にないから、余計辛くなってきた。

それから放課後までずっとそのことで頭がいっぱいで授業に集中できなかった。








放課後になって、校門で待つ。

また思い出して泣きそうになる。

でも、泣いたら絶対うざがられる。

だから絶対泣かないように我慢していた。

「ななの!」

遠くから名前を呼ぶのやっさんの声がして、その方向を向く。

そこにはいつも通りの笑顔ののやっさんが駆け寄ってきてくれていた。

自然と涙が出てきた。

「え、おい、え」

傍まで走ってきてくれたのやっさんがオロオロしだす。

「え、ななの、なんで泣いてんだよ…俺、なんか悪いことしたか?」

慌てて慰めようと肩を両手で撫でてくれる。

「え、私、泣いてますか?」

「無自覚なのか!」

「はい…」

頬を拭うと濡れていた。

泣いているつもりは本当になかった。

ただ、のやっさんにあんなにも冷たくされたことが、本当にショックだったんだと自覚した。

「本当に、俺のせいじゃないのか?」

「あ、いや、その」

「ちゃんと言ってくれ!俺、謝るから!」

ガシッと撫でていた手が肩を掴む。

「あ、あの…昼間、一緒に帰ろうって、誘った時、冷たかったから、その…」

思い出しただけでまた涙が出てきた。

「あー!ごめん!ほんんんとごめん!あんとき俺次の授業当たるって忘れてて、ほんと周りが見えてなかったんだ!だから、ほんとごめん!!」

肩から手を離し、両手を思いっきりくっつけてのやさんの頭を下げ全力で謝ってくれた。

「のやっさん、頭をあげてください!全然いいんですよ!」

「いや、それでもななのを傷つけたとこに変わりはない!ほんとごめんな!」

謝ることをやめて抱きしめてくれた。

いつもより倍くらい強く抱きしめてくれた。

のやさんの温かさが伝わってくる。

本当に愛されてるんだな、と感じるくらい。

「もう、大丈夫です…」

そう言って離れようとするが、のやっさんは離してくれない。

「もう少し、こういさせてくれ」

少し腕に力が込められる。

私ものやっさんの背中に手を回し、ぎゅっと引き寄せる。

いつもは小さく感じるのやっさんの背中が、今日はやけに大きく感じた。





おわり




↓あとがき

男前なのやさーん!素敵!きゃ!
身長差はあえて触れてないので、ご想像にお任せします!笑
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