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□対になる5のお題
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★泣き顔と笑顔 日向




今日、盛大に彼氏にフラれた。

『少し優しくしただけだろ。わがまま言ってんじゃねーよ』

そう言って一方的にフラれてしまった。

ただ一緒に帰ろうと言っただけなのに。

放課後の教室は本当に寒い。

放課後呼び出されて話したのがそれ。

彼はそう言い捨て立ち去っていった。

私は追いかけることもできず、その場で泣き崩れてしまった。

もうどれくらい経ったかなんて覚えていない。




ガチャ…

ドアが開く音がして、はっとドアに目を向ける。

「ななのちゃん?」

机の間から少しだけ見えたのは、日向だった。

目が合った瞬間、自分が死んだ顔をしていることを思い出して机の間に隠れた。

「どうした?」

足音とともに声が近づいてくる。

「こ、来ないでっ」

そう言ったときには目の前に日向がしゃがみ込んでいた。

「泣いてるのか?」

顔を覗き込んでくる日向を避けようと手で隠す。

「泣いて、ないよぉ…」

そう言いながら、また涙が出てきた。

「え、ごめん!ほんと大丈夫?」

少し慌てて、慰めようとしてくれた。

「ご、ごめんっ…」

手で涙を拭うがどんどん溢れ出てくる。

「俺でよかった、話し聞くよ」

直球に当たってきてくれる。

日向のそんな姿勢がほんと好き。

不思議と涙は止まっていた。

「じ、実は…彼氏にフラれたの…」

「そ、そうだったのか…」

日向は少し苦笑いをしてから、パッと明るくなった。

「それはさ、ななのちゃんに合わなかっただけだよ!」

ポンっと頭を優しく叩いてくれた。

「そんなこと言っても」

「ななのちゃんをフルような男のこと、気にすることないよ!」

何か言い返そうと日向の顔を見ようと顔を上げた。

そこには太陽な明るくて優しい元気な日向の笑顔が目に入った。

すると、さっきまで悲しい気持ちでいっぱいだったのに、やんわりと優しい気持ちになっていく。

「日向はいっつも笑ってるね」

「おう!今日はななのちゃんの分も笑ってやるよ!」

いつもは可愛いと思う日向が、かっこよく見えた。

日向の笑顔が眩しくて、私も自然と笑顔になる。

ホロリと笑った私の手を急に握ってきた。

「どうしたの?」

言葉を詰まらせている日向。

口をぎゅっと結び、顔をほんのり赤くしている。

「俺!」

「へ!」

急に大きな声で言われたので、少しビックリしてしまった。

「俺、ななのちゃんのこと、ずっと好きだったんだ…」

そう言って一段と顔が赤くなる。

「え…日向く」

「あんなやつ、さっさと忘れて、俺と付き合えよ!」

私の目を見て言った。

目が合った瞬間、ドキドキが激しくなった。

恋に落ちた瞬間だとわかった。

「俺、絶対ななのちゃんのこと、泣かせない!ずっと笑顔でいさせてあげる!」

さっきの何倍もの力で手を握ってくる。

「少しずつでいいから、俺のこと、好きになって、くれねぇか…?」

自分で言ってることが恥ずかしくなってきて最後の方はほとんど声が聞こえなかった。

日向の真剣な瞳から本気で好きでいてくれると伝わってきた。

「ほんとに、私でいいの…?」

恐る恐る聞いてみた。

「も、もちろんだ!…ずっと笑ってろよ!」

完全に勢いで押された感じだが、日向の真剣な気持ちに答えようと思った。

「うん!少しずつ、ね」

その答えを聞いて日向が今日一番の笑顔を見せてくれた。

「ああ!これからよろしくな!」

いつだって傍で笑っていてくれた日向だからこそ、答えられたのかもしれない、と今度は私が日向の手を強く握りしめた。





おわり



↓あとがき

積極的な日向くんも可愛い…!
ほんと癒しだわ!
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